3 栄光の剣、その後3
「随分と力を上げたようだね、バルツ」
戦いが終わり、堕天使メティスエルがやって来た。
「……ふん、この力があれば、Sランク冒険者並の活躍をすることも難しくない。我が『栄光の剣』がSランクギルドに返り咲くのも時間の問題だ」
「冒険者? 君はもうそんなことを考える必要はない。これからは邪神軍の尖兵として働いてもらう」
「ふざけるなよ」
その言葉にバルツは反発する。
「この俺が邪神軍などに味方すると思っているのか」
と、メティスエルをにらみつけた。
「へえ、人間の世界を守るために我らを討つ、と?」
「違うな。俺は栄光をつかむために戦う。貴様らの部下になどならん!」
バルツが爪を振り上げる。
「さあ、とっとと消えろ!」
「君に力を与えてやったのは我らだぞ? 何を勝手な――くっ!?」
バルツの繰り出した爪撃が、メティスエルの胸元を斬り裂く。
鮮血が飛び散った。
「おのれ……!」
メティスエルが憎々しげにバルツをにらむ。
バルツはさらに二撃、三撃と繰り出した。
メティスエルはたじろいだように後退する。
「もう一度言うぞ。消えろ」
バルツが告げた。
どうやら彼が堕天使になったことで戦闘力の差は逆転したようだ。
メティスエルは無言で去っていく。
「ふん、礼を言っておくぞ。おかげで俺は最強の力を得た」
飛び去る後ろ姿を見ながら、バルツは鼻を鳴らした。
今の自分ならなんでもできる。
まさしく、最強だ。
ふとジラルドの顔が浮かんだ。
奴を始末することだって、今なら造作もないだろう。
「くくく……」
バルツは暗い笑みを漏らした――。
※
SIDE メティスエル
メティスエルはアジトへと戻ってきた。
堕天使の姿から人間体へと変わり、屋敷に入る。
「メティスエル様、傷を負って――」
「構わない。すぐに回復する」
駆け寄ってきた下位の堕天使――メイド姿の少女だ――に、メティスエルはこともなげに言った。
「そもそも、わざと斬らせたのだ。奴には調子づいてもらった方がいい」
「と、仰いますと?」
「最初から彼にはこの役割を負ってもらうつもりだった」
笑う堕天使メティスエル。
「『黒き剣帝』ジラルド・スーザ──第一階位堕天使すら退けたという話だが、彼と因縁の深いバルツなら、あるいは隙を突けるかもしれないからね」
しょせん、奴は捨て駒だ。
ページ下部にある『ポイントを入れて作者を応援しましょう!』のところにある
☆☆☆☆☆
をポチっと押すことで
★★★★★
になり評価されます!
「面白かった!」
「続きが読みたい!」
と思っていただけましたら、ぜひポチポチっとしていただけましたら励みになります!
「面白くなかった!」ときは(ごめんなさい……)★1でも結構ですので、ポチっとしていただけると嬉しいです!
執筆の励みになりますので、ぜひよろしくお願いします~!