9 使い魔
「狐……?」
俺たちの前に現れたのは、一匹の狐だった。
美しい黄金の毛並みをしている。
尾は九本に分かれていた。
「伝説の魔獣──九尾の狐、か」
ただ、敵意は感じない。
静かで知性的な雰囲気を醸し出していた。
「お久しぶりです『黒き剣帝』殿。私は『蒼の魔女』アルジェラーナ様の使い魔、翡翠です」
狐が名乗る。
「翡翠……邪神大戦のときに何度か会ったな」
アルジェラーナの使い魔の中で、もっとも高い魔力と戦闘の力を備えた優秀な魔物である。
「アルジェラーナは元気か?」
「我が主アルジェラーナ様は各地の遺跡を巡っておいでです。来たるべき新たな──そして最後の戦いのために」
「戦い……?」
「もちろん、邪神軍との、です」
使い魔が告げる。
「邪神の軍勢はいよいよ大攻勢をかける準備を始めている、と主が申しておりました。その兆候をいち早く察知された主は、邪神軍に対抗できる装備や呪文などを探すために各地を回っているのです」
「アルジェラーナが……」
「私がここに来たのも、主の命によるもの。どうやらこの遺跡は邪神軍に縁のあるもののようですから」
と、壁画を見る。
「邪神軍がこの遺跡を作った、というのか?」
「調査してみないと分かりませんが、可能性はあります。あるいは太古、邪神軍に対抗する勢力が作ったもの、という可能性もありますね」
翡翠が言った。
「そうそう、あなたの噂も聞いておりますよ。かつての力を取り戻されたとか」
「ああ……ここにいるソフィアの協力を得て、な」
「それは何よりです。アルジェラーナ様もお喜びになりましょう」
微笑む翡翠。
「できれば、お時間をいただき、アルジェラーナ様にお会いしていただきたく」
「【蒼の魔女】とか……」
「よろしければ、主が直々にお尋ねしますが」
「なら、ウィンドリア王国にある冒険者ギルド『癒やしの盾』を訪ねてくれ。俺は今そこに所属している」
「確か、以前は『栄光の剣』にいらっしゃったのですよね?」
「ああ、色々あって抜けたんだ……」
「……分かりました。主にお伝えいたします」
俺の言葉にうなずく翡翠。
「では、いずれあなた様のギルドに──『癒やしの盾』に主自らが伺うでしょう。その際にはよろしくお願いいたします」
「分かった」
そして、一週間後。
『癒やしの盾』にいる俺に、アルジェラーナが訪ねてきた──。
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