7 探索クエスト1
翌日は探索クエストだった。
五キロほど離れた山地のふもとに奥深い遺跡がある。
そこの調査と安全なルートの確保が依頼内容だ。
俺たちで一通りの罠やモンスターの排除などを行った後、遺跡の調査が行われるという。
なんでも、かなり昔の遺跡で学術的な価値がかなり高いとか。
そのため、可能な限り遺跡を破壊せず、元の状態を保つような形で探索を行わなければならない。
探索メンバーは俺とソフィア、ミリエラ、三人娘の内のアリアン、そして未亡人僧侶のカタリナの五人である。
「じゃあ、明かりを灯すわよ──『ライト』」
カタリナがオーソドックスな灯火呪文を唱えた。
周囲が明るく照らされる。
「ねーねー、師匠。これだけ明るいとモンスターが寄ってきたりしないの?」
「寄ってくる可能性はある」
ミリエラの問いに答える俺。
「ただ、あまり暗いと罠が見づらくなるからな。俺たちのパーティは罠の発見や解除には長けていない。だがモンスター討伐についてはミリエラがいるし、いざとなれば俺も戦える。あとカタリナも戦闘術はそれなりに心得ているという話だ」
「あたしは採集専門でバトルはからっきしだけどねー、あはは。申し訳ない」
と、アリアン。
「いや、君には戦闘以外の役割があるし、そこは気にしなくていい。それぞれが得意分野を担当し、やり遂げる──それがパーティを組む理由だ」
「おお、なんかそれっぽいこと言ってる!」
ミリエラが感心したように叫んだ。
「さすがに経験豊富な冒険者だけのことはあるわね」
カタリナが俺の腕にしがみついた。
むぎゅっ、と胸を押し付けられた格好だ。
彼女の口元に浮かぶかすかな笑み。
……絶対、わざと押し付けてるな。
「ちょっと師匠にくっつきすぎじゃないかな?」
「ミリエラ?」
「あら、ギルドマスターだけじゃなく、あなたもヤキモチ? ふふ」
「ヤキモチ?」
「年上男性への恋心……若い娘にはありがちよね」
カタリナが微笑んだ。
「といっても、あなたはエルフだし、実際はジラルドさんより年上なのかしら?」
言いながら、ますます胸を押し付けるカタリナ。
「むむむ」
「どうしたんですか、ミリエラちゃん」
ソフィアがたずねた。
チラッと俺を見る表情は少し険しい。
なんだか三人から囲まれ、糾弾されているみたいな気持ちになってくる。
「うわー、モテモテなんだね、ジラルドさんって」
アリアンが笑った。
「いや、違うぞ。俺は別に──」
「なんかモヤモヤするの……師匠とカタリナさんがくっついてると。なんだろ、この感じ……」
「ふふふ、それが──恋よ」
「恋……!」
「いやいやいや」
さすがにツッコまざるを得ない。
「これが……恋……?」
ぽつりとつぶやくミリエラ。
「まだ自覚していないのかもしれないわね。自分自身の気持ちを」
「あたしの、気持ち……」
ミリエラは俺を見つめた。
「師匠……」
「な、なんだ」
さすがに緊張感がこみ上げた。
まさか告白でもするつもりじゃ……?
いや、そんな馬鹿なことがあるはずがない。
ミリエラはにっこり笑い、
「戦い方を教えてくれて感謝してる。尊敬もしてる。とりあえず今は──それでいいよ」
「……そうか」
当然だ。
俺たちは、師弟なんだからな。
「なーんだ、残念」
それを聞いたカタリナがつまらなさそうに肩をすくめた。
……一体、どんな答えを期待していたんだ?
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