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3 面接2

「ただ、私は昔、邪神大戦の折に冒険者の方に何度も救われました。だから私もそんな冒険者になりたいと──困っている人を助けられるような存在になりたいと鍛錬を続けてきました」


 身を乗り出すモーリィさん。


 その表情は先ほどまでよりも引き締まっていた。


「私は、残念ながら剣の才能がないようです。鍛えてはきましたが、腕は三流でしかない。はっきり言って弱いです。だけど、弱いなりにできることはないかと探し続けてはいます。このギルドでそれをもっと──」

「……熱意は、あるな」


 俺はひとりごちた。


 案外、こういうタイプが成長することもある。

 最初は審査段階で落とした方がこの人のためかもしれない、とすら思っていたが──。


 あの目の光を見た後だと、考えが変わった。


 ……もう少しだけ、考えてみるとしよう。




 最後は女僧侶カタリナだ。


「年齢? 女に年を聞くなんて野暮じゃない? ふふ」

「いや、別に年齢は聞いてないが……」


 開口一番、艶然と微笑むカタリナに、俺は戸惑ってしまう。


「冗談よ。やっぱり生真面目なのね」


 と、カタリナ。


「そういうところ、嫌いじゃないわよ」


 ぱちり、と俺に向かって流し目。


「……あの、当ギルドのメンバーを誘惑しないでいただきたく」


 ソフィアがちょっと不機嫌だった。


「あらあら、お二人って……なるほどね。まあ、ほどほどにさせてもらうわね」


 カタリナは俺とソフィアを見つめ、おかしそうに笑った。

 一方のソフィアはますます不機嫌そうだ。


 いかんな、険悪にならないように俺が主導するか。


「ええと、カタリナさんは──」

「カタリナ、でいいわよ」

「じゃあ、カタリナ。君はなぜこのギルドを選んだ?」


 まずは志望動機だ。


「あら、好みの男性のタイプでも聞いてくれればいいのに」

「それは冒険者の資質とは関係ないだろう」

「冗談よ」


 と、投げキスをするカタリナ。

 また、むむむ、とうなるソフィア。


「ええと、志望動機ね……前のギルドは子供がいても全然配慮してくれないところだったの。で、もっと子育てによい環境を探していたわけ」


 カタリナが説明した。


「あ、だったら冒険者なんてするな、って? しょうがないじゃない。冒険者は亡き夫と私の二人の夢だもの」


 彼女は未亡人だったのか。


「旦那さんも冒険者だった、ということかな?」

「そうよ。素敵な人だった。あなたも中々だけどね」


 俺に流し目を送るカタリナ。


「……どうも」

「あら、そっけないわね。社交辞令じゃないわよ」


 カタリナが身を乗り出した。

 豊かな胸が僧衣の上から、ぷるん、と揺れた。


「夫がいなくなって、ずっと寂しかったの。あなた、どこか夫に面影が似て──」

「こほん」


 ソフィアが咳払いをした。

 表情が少し険しい。


「これはギルド加入審査のための面接ですので。そういうのは控えていただけますか?」

「え、駄目なの? もしかして、ここって冒険者同士の恋愛禁止? ギルドによってはそういう規則のところもあるって聞くけど……」

「いや、『癒やしの盾』にそういった規則はない」


 俺が言った。


「ジラルドさん、この人の誘惑に乗り気なんですか?」

 ソフィアが俺を軽くにらむ。

「ソフィア……?」


 妙に迫力のある彼女に、思わず気圧される。


「あらあら、あなたも男を誘惑したいなら、もう少し色気を身に付けないとね。見たところ経験なさそうだし──」

「ほ、放っておいてくださいっ……」


 ソフィアが真っ赤な顔で言った。




 結果としては──全員、加入を認めるということになった。


 カタリナに関しては、ソフィアが若干不服そうだったが。


 まあ、これで剣士の俺に魔法剣士のミリエラに加え、魔法使いが三人、剣士が一人、僧侶が一人、と各クラスがそろってきた感じはある。


 この調子でギルド全体を盛り立てていきたいものだ──。

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