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2 面接1

「あたしはアリアン、こっちの赤毛がルル、眼鏡をかけてる子がシェーラです」


 ウェーブのかかった金髪を肩のところで切りそろえた女が三人分の自己紹介をした。


「面接って何を聞くんですか? ちょっと緊張しちゃうなー」

「そう? けっこう平然としてませんか、アリアン?」

「あたしたちの中では一番度胸があるもんな、アリアンって」

「そんなことないわよ。あたし、緊張してるってば」


 三人がきゃいきゃいと話している。

 若い女性が三人集まると、やはり華やいだ雰囲気になるな……。


「あ……すみません、あたしたちだけで話しちゃって」


 アリアンが俺たちに向かって頭を下げた。


「いえ、仲が良いのはいいことです」

「ああ、チームワークもよさそうだ」


 ソフィアと俺が言った。


「とはいえ、そろそろ面接に入ろうか。このギルドを選んだ動機を聞かせてほしい」

「あたしたちが『癒やしの盾』を選んだ理由は──ちょっと、恥ずかしいんですけど」


 アリアンが照れたような顔をして、俺をチラチラと見た。


「ん、なんだ?」

「ずばり! ジラルドさんの存在です! 戦績がすごいですし。っていうか、伝説の英雄なんですよね?」

「……そんなたいそうなものじゃない」


 俺は苦笑交じりに答えた。


「あと、冒険者としてのキャリアアップも!」

「ここのギルドは最近ランクを上げていますし、その上向きの機運に乗りたいんです!」


 三人が口々に言った。

 なるほど、理由としてはよくある感じだな。


「三人は全員、魔法使いということですよね。今までのクエストは三人だけでやってきたんですか? 剣士や僧侶もいないと大変だと思うんですが……」


 今度はソフィアがたずねた。


 新規加入希望の五人については、面接の前に簡単な自己紹介シートを書いてもらっている。

 俺も目を通したが、彼女たちのクラスはいずれも魔法使いだ。


「クエストによっては臨時メンバーを入れることもありますけど、基本はあたしたち三人だけです」


 と、アリアン。

 雰囲気を見た感じ、彼女がリーダーのようだ。


「いちおう、あたしが攻撃タイプの魔法使いで、ルルは魔法剣士も兼ねた近接型、シェーラは防御や探知などをメインに行う感じでバランスを取っているつもりです」

「なるほど。それなら、三人でもある程度やれそうだな」


 気配から見ても、彼女たちはそれなりの実力者のようだ。

 熱意もある。


 彼女たちならもっと上のランクのギルドでも入れそうな気がするが──。

 まあ、その辺は何か事情があるのかもしれない。


 ギルドとしては実力と熱意、そして信頼できるかどうか──といった点を重視していきたい。


 もちろん最終的に決めるのはソフィアだが、俺はそういった方針だ。




 続いては、中年剣士のモーリィさんの番だった。

 さっきと同じく俺とソフィアが並び、対面で面接を始めた。


「私はもともと別のギルドに所属していたんですが、財政難からリストラにあってしまいまして……」


 モーリィさんは気弱で実直そうな印象である。

 見るからに善人といった雰囲気だった。

 だから人間としては好感が持てる。


 ただ──冒険者としてどうか、というと話は別だ。

 厳しい考え方になるか、冒険者業界は生きるか死ぬか、食うか食われるか……といったシビアさと隣り合わせなのだ。


 善良であることが必ずしもプラスに働くとは限らない。

 他者を引きつけるカリスマのような善良さもあれば、隙の多さにつながるようなそれもある。


 言っては悪いが、モーリィさんは後者に思えた。


「モーリィさんのクラスは剣士ですよね? 失礼ながら、冒険者ランクはいくつでしょうか?」


 ソフィアがストレートにたずねる。


「私のランクはDです。といっても、他のメンバーが活躍した中で、私にもその手柄が回って来ただけで……実質的にはEランクと変わらないんじゃないかと」


 モーリィさんが言った。

 自己申告で自分の評価を下方修正するのも、正直な性格ゆえなんだろう。


「わざわざそんなことを言わなくても……と思いましたか? 他のギルドの面接でも言われました。そんな性格じゃ冒険者はやっていけないと」


 自嘲気味に告げるモーリィさん。


「分かっているんです。自分でも向いていないことは──」


 言って、モーリィさんは顔を上げた。


 俺はハッとなった。


 気弱な表情は変わらないが、目には強い光が宿っている──。

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