7 エルフの魔法剣士は、高みを目指す1
SIDE ミリエラ
「すべてを滅ぼす……?」
魔導兵器の言葉に、ミリエラは眉をひそめた。
「あたしは古代種エルフの森にいたけど、そんな話は聞いたことがないよ。森の仲間たちはみんないい人だったし。デタラメ言わないで」
「あなたが知る者が、古代種エルフのすべてではありません……世界にはいくつもの彼らの集落がある……」
と、魔導兵器。
「神や魔、邪神……そして古代種エルフ。さまざまな種族がこの世界を狙っています……野心、権力欲、征服欲……そういった理由で」
「古代種エルフも?」
「その通りです……彼らは、その卓越した魔力で世界のすべてを従えようと準備を進めています。数百年も前から……」
「世界征服ってこと……?」
ミリエラがふたたび眉をひそめる。
自分と同じ種族に、そんな連中がいるとは考えたくもなかった。
「うーん……なんかモヤモヤするなー」
同じ森に住んでいなくても、古来種エルフは広い意味での仲間だ。
その仲間が、世界征服などというものを企んでいる──。
聞いていて、気持ちのよい話ではない。
「あなたがその事実を受け入れないというなら、私は別の主を見つけるとしましょう……」
ヴン……!
魔導兵器の瞳の色が、赤から青へと変わった。
「世界に覇を唱える者こそ、真の古代種エルフ。我が主にふさわしき存在」
「で、あたしたちを全部倒す? 殺す?」
ミリエラが魔導兵器をにらむ。
ジラルドやソフィアをちらりと見て、
「そんなことはさせない。あたしは──あたしの大切な仲間たちを守る。この剣と、魔法で」
「世界ではなく、周囲の者のために戦うと?」
「それと──あたし自身が強くなるためにね」
ミリエラはそこでようやく笑った。
やはり、難しいことを色々と考えるのは性に合わない。
まずは全力でもって、あの魔導兵器を無力化しよう。
その後のことは──その後で考える。
そう思いきったら、頭の中のモヤモヤが晴れていく気がした。
「あなたは強いね。あたし、心が高鳴ってきたよ」
善だとか悪だとかは関係なく──。
純粋に勝負を楽しむ高揚感が、彼女の全身を満たしていた。
「いくよ、魔導兵器くん」
ミリエラが長剣を構える。
己の魔力がどんどん高まっているのが分かった。
強敵との戦いで、自分の中の何かが覚醒していくような感覚。
この強敵を打ち破れば、自分はもっと強くなれるという予感。
それらが彼女を高揚させていた。
「さあ、存分にやりあおうね!」
そう、頭の中のモヤモヤなど一片も残らないように。
爽快感のある戦いをしたい。
「いっくよー!」
ミリエラが地を蹴った。
青白い魔力を噴出して加速する。
いつも通りの戦法だ。
魔導兵器もまた同じように魔力を吹き出し、突進した。
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