6 青き魔力
闘気製の黒い全身鎧をまとった俺は、魔導兵器の前に立った。
「くっ……ううっ……」
四肢が、悲鳴を上げた。
体の節々が軋む。
さすがに本調子とはいかないか……。
だけど、ここで退くわけにはいかない。
あの魔導兵器と対峙できるのは、メンバーの中で俺だけだろうから。
「闘気解放──収束、光刃」
俺の周囲に二十本近い数の黒い剣が出現する。
いずれも、闘気エネルギーを物質化して生み出した剣である。
「行け」
それらの闘気剣をいっせいに飛ばす。
俺の意思に従い、すべての剣が矢のように飛んでいき──。
「生命エネルギーの物質化攻撃ですか……しかし、これしきの速度で!」
魔導兵器は目にも留まらぬ超速の斬撃で、それらをすべて打ち落とした。
「やるな……!」
基本技では通用しない。
闘気の段階をもっと引き上げる必要がありそうだ。
だが、闘気を強めれば体への反動もそれだけ強くなる。
今の俺の体で、どこまでやれるか──。
「生命エネルギーを操る技……危険……排除する」
魔導兵器が突っこんできた。
速い──。
背部から魔力を噴出して加速している。
ミリエラと同じ技だ。
高速で間合いに侵入し、剣を繰り出す魔導兵器。
俺は大剣を跳ね上げ、その斬撃を弾き返した。
十合ほど打ち合って、互いに離れる。
両腕にかすかなしびれがあった。
魔導兵器の斬撃を受け止めた余波である。
奴はスピードに加え、パワーもかなりのものだった。
「迷っていても仕方がない。肚をくくって、全開の闘気でやるか──」
「待って、師匠」
ミリエラが俺の前に出た。
「師匠は本調子じゃないでしょ。ここはあたしがやる」
「だが──」
「なんとなく分かるの。直感……ううん、本能かもしれない」
俺はそこで彼女の雰囲気の変化に気づいた。
エルフ娘の全身から淡い青光が立ちのぼっている。
これは──。
いつもよりも、魔力が濃い。
魔法に関しては素人の俺だが、それでもはっきりと分かるほどに。
ミリエラの力が高まっている……!?
「あたし、あいつが相手なら『本当の自分』を出せる、って」
さらに一歩、ミリエラが前に出た。
その全身から、青い輝きが弾ける。
「はあああああああああああああああっ!」
そして、その輝きは爆発的に広がった。
周囲一帯が強烈な照り返しで青く染まる。
炎を思わせる魔力のオーラをまとったミリエラが、一歩一歩進んでいく。
「素晴らしい魔力……やはり、あなたこそ古代種エルフ……私の主……」
「悪いけど、あたしはあなたの主じゃないよ」
ミリエラが魔導兵器を見据える。
「あなたには自我があるのかな? できれば壊したくない……だから、みんなに危害を加えないで」
「なぜです……? かつて古代種エルフは他種族すべてを滅ぼすために戦った……あなたもその一族のはず」
「すべてを滅ぼすために……? なんの話?」
「私はその尖兵として作られました……来たるべき、エルフと他種族すべての戦いの、ために……」
魔導兵器が語る。
「人も、神も、魔も、邪神も──すべてを滅ぼすために」
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