4 魔導兵器
俺たちはさらに進む。
と、
「あれ? ここの通路……なんか変な感じがする」
ミリエラが足を止めた。
前後にまっすぐ伸びる広い通路だ。
「変な感じ?」
「強い魔力を感じる」
俺の問いに答えるミリエラ。
ご……ごごご……ご……!
そのとき、振動とともに前方の床から何かがせり上がって来た。
巨大な像──。
通路の左右には三体ずつ、合計で六体の像が並んでいる。
いずれも全長二メートルほどで、全身鎧をまとった荘厳な騎士をかたどった像だ。
おおおおおんっ。
獣の咆哮に似た駆動音とともに、騎士像たちが動き始めた。
「あれが魔力の出どころみたい」
ミリエラが六体の像を指さした。
「なるほど──こいつがダンジョンの主が作った『魔導兵器』というわけか」
俺は剣を構えなおした。
「侵入者は排除する、ってやつ? みんな、迎え撃つよ」
叫ぶバーバラ。
騎士像の一体が彼女に襲いかかった。
振り下ろされた剣を、バーバラは二本のナイフで受け止める。
「な、なんてパワーなの……っ」
吹き飛ばされるバーバラ。
「このっ!」
仲間たちが魔法を放つが、騎士がまとう鎧に弾かれる。
さらに追撃してくる騎士に、バーバラたちは防戦一方だった。
あっという間に後退してくる。
「強い──」
青ざめた顔のバーバラたち。
さすがにこれまでのモンスターとは桁が違うようだ。
しかも、それが六体。
他の五体はまるで楽しむように戦いを鑑賞している。
「……ソフィア、危なくなったらスキルを頼む。俺が直接やる」
「無理はしないでくださいね」
ソフィアが心配そうに俺に寄り添う。
「あ、さりげなくイチャイチャしてる~」
ミリエラがからかった。
「ち、違いますっ。誤解です!」
慌てたように叫ぶソフィア。
「そ、その、これはあくまでもスキルをいつでも使えるようにするためで、その、あの……」
「えへへ。まあ、今回は師匠やソフィアさんの手を煩わせないから安心して。あたしががんばるんだから」
構えた剣に青い魔力の輝きが宿った。
「あいつら全部やっつけて、師匠に認めてもらうの。『ミリエラも結構やるようになったな』って!」
「じゃあ、ミリエラ、いっきまーす!」
元気よく叫んで飛び出すエルフ娘。
およそ戦場にはそぐわない朗らかな声だ。
だが──、
「魔力噴出ぅっ!」
彼女の背中から、青白く輝く光の粒子が飛び出した。
魔力の奔流だ。
しかも、すさまじい密度の。
その噴出の勢いで一気に加速。
超速で魔導兵器に肉薄する。
「あれは──」
かつて俺と手合わせしたときに、ミリエラが使った技。
闘気でコーティングした俺の剣に亀裂を入れるほどの威力を発揮した、技だ。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
その勢いのまま、ミリエラは魔導兵器の一体に斬りかかった。
一閃。
ミリエラの剣が、魔導兵器をあっさりと真っ二つにした。
「すごいな……!」
いつの間にか、ここまで腕を上げていたんだ。
ミリエラは魔力の噴出を小刻みに続け、急加速と急停止を組み合わせた動きで残りの魔導兵器を翻弄した。
初めて出会ったころに比べ、魔力のコントロールが上手くなっている。
あれからずっと修業してたんだな。
胸が熱くなった。
ほどなくして──ミリエラは魔導兵器をすべて斬り伏せていた。
「これなら俺が教えることもない」
感慨にふける。
「強くなったな、ミリエラ」
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