7 勝負の行方
「そ、それくらいでいい気にならないことね」
ノアのカマが瞬時に再生する。
「この里ごと徹底的に切り刻んでやるわ。肉片すら残さないレベルで──」
「これ以上、里に被害は出させない」
俺は全身の闘気をさらに高めた。
ごおおおおおおおっ……!
爆炎を思わせる、轟音。
同時に、俺の体を覆う闘気の鎧が変化した。
色彩が黒から虹色に。
装飾がきらびやかになり、背に翼状のパーツが出現する。
さながら天使剣士といった姿だ。
冥皇封滅剣、零の型──『天幻』。
すべての闘気の性質を兼ね備えた『虹色の闘気』をまとい、すべての能力を極限まで強化する。
そしてその超絶戦闘能力によって、あらゆる敵を殲滅する。
それが零の型『天幻』だ。
「いくぞ、ノア!」
俺は地を蹴り、駆け出した。
「っ!? 速すぎて見えな──」
驚愕するノアの声すら置き去りにして、俺は一直線に駆け抜ける。
両手のカマを両断し、さらに節足もすべて斬り落とした。
「ぐうううっ……ああああああっ……」
苦鳴を上げるノア。
巨大な光想体は手足をすべて斬り落とされ、もはや動けない。
「はあ、はあ……あ、あなた……本当に人間なの?」
苦し気な息の下でノアがたずねる。
「人間さ。ここにいる仲間たちを守りたいと願う、ただの──人間だ!」
横薙ぎの一閃が、光想体の表面装甲を深々と切り裂く。
さすがに光想体は巨大すぎて、剣では一撃で倒すことが難しい。
とにかく徹底的に斬り、戦闘不能に追いこむしかない。
「このまま押し切る──」
俺は大剣を振りかぶり、次の一撃を放とうとする。
「ちいっ……!」
ノアの目が、ソフィアたちの方を向いた。
複眼に鮮烈な輝きが宿る。
「あの光は──」
まずい、聖力弾を放つつもりだ!
今のノアの攻撃を食らったら、ソフィアたちではひとたまりもないだろう。
いくらミーシャやリーネがいても、とても防ぎきれないはず。
「やめろ、ノア!」
斬撃を放つには一瞬の溜めが必要だ。
それより早く、ノアの光弾がソフィアたちを薙ぎ払う──。
俺は大きく前方に跳び、射線上に立ちはだかった。
「あなたなら必ずそうすると思った。やはり、人間は甘い」
ノアが笑みを浮かべる。
「最後だから誉めてあげる。もしあなたが甘さを捨て、仲間を見捨てて向かってきたら──私は負けていた。認めるわ。あなたは第一階位堕天使をも凌ぐ最強の英雄だと」
「くっ……」
「だけど、しょせんは人間。その甘さゆえに、あなたは敗れる──」
閃光が、弾けた。
全身で聖力弾を受け止める。
体にまとった虹色の闘気の鎧に亀裂が走った。
さすがに直撃はきついか……!?
いや、耐えきってみせる。
ここを凌ぎ、反撃を食らわせれば俺の勝ちだ──。
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