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4 黒き剣帝VS第一階位堕天使、ふたたび4

「やりましたね、さすがジラルドさん!」


 リーネが歓声を上げた。


 だがソフィアやミーシャは険しい表情だ。


 分かっている。

 これで終わりじゃない。

 と、


「まさか『盾』を破るとはね」


 地面に転がった生首がギョロリと目をむき、俺をにらんだ。


 ふわり。


 首が空中に浮かび上がると、一瞬にして胴体とくっついた。

 前の戦いでも見せた時空干渉系の回復術。


 まあ、ここまでは想定内だ。

 ここからが──本当の勝負の始まりである。


「いくぞ、ソフィア。打ち合わせ通りに」

「は、はい……」


 心なしか、自信がなさそうなソフィア。

 見れば、体が小刻みに震えている。


「スキルを成功させるのは意思の強さだ。君は、強い──信じろ、自分の強さを」


 俺は彼女に微笑む。


「最底辺に落ちたギルドをずっと支えてきたのは、君じゃないか。その強さはきっとスキルに宿っている。だから──信じるんだ、自分自身を」

「……やってみます」


 ソフィアは大きく息を吐きだした。

 その顔面は蒼白だ。


 それでも、さっきまでの体の震えは止まっていた。

 少しは肝が据わったんだろう。


 それで、いい。


「何か作戦でもあるのかしら? だけど──無駄よ!」


 ノアが突っこんできた。

 聖武具フラガラッハを振りかぶり、まっすぐに。


 防御を完全に捨て、攻撃一辺倒の構えか。


 そもそも、彼女は自身のダメージを『時間を戻す』ことでゼロにできる。

 防御の必要がない、ということなんだろう。


「はああああああああああっ!」


 繰り出された斬撃は、今までの数倍の速度だった。

 まさしく攻撃に極振りした一撃。


「だが、無駄だ」


 俺はその一撃をやすやすと見切り、すれ違いざまに彼女の胴を薙ぐ。

 上半身と下半身に分断され、倒れる堕天使。


「単純なパワーやスピードでは勝てない、と言ったはず。冥皇封滅剣を舐めるなよ」

「舐めているのはあなたよ」


 ノアの上半身がふわりと浮き上がった。


「私の術は時空に干渉できる。どれだけ私を傷つけても、ダメージを受ける前の時間に戻れる私を──倒すすべはないわ」

「どうかな」


 俺は後方のソフィアに合図を送った。


「スキル──発動!」


 ソフィアの手から青い光が飛んだ。


 ほぼ同時に、ノアの上半身と下半身が合体し、先ほど同様に再生する──。

 ……いや、違う。


「これは……!?」


 ノアが怪訝そうな表情を浮かべた。


 先ほどよりも再生スピードが明らかに遅い。

 瞬時に傷口が塞がるはずが、徐々に肉と肉、骨と骨が接合されていき、傷がゆっくりと塞がっていく。


「術の効果が薄れている……なぜ!?」


 狙い通りだ。

 俺とソフィアは視線を交わし合ってうなずいた。


 ノアが使う時空干渉神術に、ソフィアの時空干渉系のスキルをぶつけ、その効果を阻害する──。

 時空を操るというのは、かなり繊細な術式が必要だとブイドーラが言っていた。


 だから、ほんのわずかな干渉でもその効果は大きく削がれる。


「できた──」


 ソフィアが半ば驚き、半ば呆然とした表情でつぶやく。


「私に、時空干渉の異能が……本当に……!」


 もともと異能において重要なのは、精神の強さ。

 そしてその事象の認識だという。


 ソフィアは『自分の異能は時空に干渉できる』『その特性は他の時空干渉系の能力に作用を与える』という二つの認識を得た。

 そのうえでスキルを発動した。


 だから、ノアの時空干渉神術を阻害するほどの異能を発揮できているのだ。


「何か小細工でもしたというの……ええい!」


 ようやく再生を終えたノアが、苛立ったように光弾を放つ。


 俺はそれを苦もなく斬り散らし、彼女に肉薄した。

 大剣を一閃、二閃。

 ノアを四つに分断する。


「私は何度でも復活するわよ!」


 彼女はふたたび時空干渉神術で元に戻ろうとするが、その再生スピードは先ほどよりもさらに落ちていた。


「遅い!」


 俺はノアが再生する前に、さらに剣を振るった。


 彼女はなすすべもなく切り裂かれる。

 そして再生しようとしても、ソフィアのスキルに阻害されて、ゆっくりとしか再生できない。

 その間に俺がノアを切り裂いた。


 俺の一方的な攻勢だ。

 いくら第一階位堕天使といえど、体をバラバラにされた状態で完全再生する前に攻撃されてはどうしようもない。


 俺がノアを切り刻む。

 ノアが復活しようとするが、その前に俺が切り刻む。

 その繰り返しである。


「な、何度やっても無駄よ。私は無限に再生できる……!」

「いや、無限じゃない」


 俺はノアに言い放った。


「その術は繰り返すほど効果が落ちていく。おそらく術に大量の神気を消費するからだろう」

「っ……!」


 ノアの表情が変わった。

 やはり図星か。


「ましてソフィアに阻害されている状況なら、なおさら消費は激しいはず。俺がこのまま君を切り刻み続ければ──やがて、その術はまったく発動しなくなり、君は死ぬ」


 俺は剣を振るい、ノアをバラバラにする。


「二度と再生できなくなる。勝負はついたな、堕天使ノア」

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