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4 黒き剣帝、全開

最近は余力が全然なくて感想返信できてないのですが、いただいた感想は(この作品も、他の作品も)すべて読ませていただいてます。励みになっています。

本当にありがとうございます! 最初のころは感想全返信できていたのですが、最近は全然できてないですね……すまぬ……すまぬ…… (´Д⊂ヽ

 体調がすっかり元通りになった俺は、また討伐クエストを受け始めた。


 俺の場合、全盛期の力を使える時間が限られている。

 そのため、なるべく難度の高い討伐を受けて、全盛期の力で一蹴──これを繰り返すのが、一番効率がよさそうだ。


 というわけで、その日はAランクモンスターの『ジェネラルスケルトン』討伐にやって来た。

 山奥の洞窟、その最奥に白い巨体がたたずんでいる。

 甲冑姿の骸骨剣士だ。


「あれが──」


 俺と一緒に来たソフィアが、息を呑んだ。


 彼女は冒険者ではないが、俺のクエストには帯同してくれている。

 彼女がいてくれなければ、俺は全盛期の能力を使えないからな。


 もちろん、ソフィアに危険が及ばないよう、俺は全身全霊を傾ける。


『黒き剣帝』の名に懸けて、彼女には傷一つ負わせない──。

 そのつもりだ。


 俺はあらためて数十メートル先にいる骸骨剣士を見据えた。


 奴は将軍級(ジェネラル)の名を関するだけあり、通常のスケルトンとはけた違いに強い。

 一流の騎士や戦士とも五分に渡り合う剣さばき。

 さらに痛みや疲れを感じないため、物理的に動けなくなるほど破壊されないかぎり、戦い続けることができる。


 通常のアンデッドならある程度のレベルの僧侶が浄化系呪文を唱えれば、一掃できる。

 が、ジェネラルスケルトンは高い魔法耐性を備えており、浄化呪文が効きづらい。


 剣などで物理的に徹底破壊するか、高レベルの浄化呪文を連打するか──倒す道は、主にその二択。


 俺の場合は当然、前者である。


「頼む、ソフィア」

「では──スキル発動」


 ソフィアが俺に向かって手をかざす。


 青白い輝きが俺の全身を包んだ。

 その輝きに気づいたのか、ジェネラルスケルトンがこっちを見た。


「侵入……者……排除……!」


 きしんだような声で告げ、近づいてくる。


「はあっ!」


 俺は気合いとともに闘気を高めた。


 吹き上がった黒い炎に似た闘気が物質化し、甲冑となって俺の体を覆う。

 同じ要領で剣を闘気でコーティングし、二回りほど巨大な剣に変えた。


 その大剣を、上段に構える。


 一流の騎士や戦士でさえ、奴の完全破壊は難しい。

 だが、俺にはこの技が──冥皇封滅剣(めいおうふうめつけん)がある。


「吹き飛べ……!」


 振り下ろした剣が黒い軌跡を──いや、そこに炎のような赤も入り混じった二色の軌跡を描いた。


 俺がもっとも得意とする剣技──冥皇封滅剣、一の型『火龍(かりゅう)』。

 衝撃波を伴った斬撃が、ジェネラルスケルトンを粉々に切り裂いた。


 いちおう、多少の手加減をして奴の骨がいくつか残る程度の威力に抑えておいた。


 全力でこの技を撃てば、山をも断つ。

 いかにジェネラルスケルトンといえど、骨片ひとつ残さずに消滅するだろう。


「あら? 前は黒一色の斬撃だったような……?」


 ソフィアが首をかしげる。


「さすがによく見ているな。俺の闘気は攻撃や防御の様態によって、基本色の『黒』以外に、いくつかの色彩に変化するんだ」


 説明する俺。


「『赤』は攻撃の色。特に中距離にまで届く威力を出すときの、な。最初のころは色の変化までは使いこなせなかったが、君に何度もスキルをかけてもらっているうちに、だんだんと取り戻してきた」


 あのころの、カンを。




「すごーい! もう倒してきたんですか!」


『癒しの盾』本部に戻ると、受付嬢のコレットがはしゃいだ。


「ああ、報酬の二割はこのギルドに収める。帳簿につけておいてくれ」


 と、金貨や銀貨が入った袋を、受付のカウンターに置く。


「モンスターも堕天使も、無敵の剣で一蹴……素敵」


 コレットが袋を受け取りながら、はう、とため息をついた。


「ん?」

「ちょっと年上だけど……いいかも」


 すっかり上気した顔で俺を見つめるコレット。

 すすす、と体を寄せてくる。


 ……本当に、初めて会ったときとは態度が百八十度変わったな。


 俺は内心で少し苦笑してしまった。


 その間もコレットは俺に体をすり寄せている。

 さながら、飼い主に懐く子犬のように。


「ちょっとくっつきすぎじゃないか、コレット」


 俺は彼女をたしなめた。


「や、やだ、あたしったら……つい、勢いに任せて……」


 コレットは顔を赤くしたまま、俺から離れた。


「……もう、コレットちゃんったら」


 ソフィアが少しだけ頬を膨らませていた。


「男性冒険者にはすぐに『激おこです』ってツンツンしていたのに。ジラルドさんには急にデレて……」

「えへへへ」


 コレットが照れたように笑った。


「あ、もしかして、ソフィアさん、ヤキモチやいてる?」

「や、焼いてませんっ!」


 ソフィアまで顔が赤くなった。




 翌日も、翌々日も俺はAやBランクのモンスターを軽々と狩った。


 もちろん、いずれもソフィアとのコンビで成し遂げたことだ。


 戦闘直前に【全盛期ふたたび】をかけてもらう。

 それから冥皇封滅剣の奥義で、瞬殺。


 これだけである。


 竜も、フェニックスも、リヴァイアサンも、ベフィモスも、ガルーダも──。

 強力なモンスターを次々と討伐しては、報酬をもらい、実績を積む。


 そんな生活が一か月を過ぎたころ。


 冒険者ギルド『癒しの盾』はギルドランクDに上がっていた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] いつも読んでます! [気になる点] ギルドランクまだD....
[一言] 高ランクの魔物これだけ狩ってもまだDなんですね… この組織めちゃくちゃ融通が利かないみたいだし、普通なら一つランク上げるのに普通に5年とかかかりそうですね…評価方法がすごく気になる。 となる…
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