12 継ぐ者2
「アルジェラーナ……」
俺は石化した彼女を見つめた。
「――行こう、みんな」
俺はショックを振り払い、ソフィアたち全員を見回した。
「封印解除装置を破壊しに」
「これみたいだな……」
俺たちは神殿の最深部にいた。
そこにたたずむ巨大な装置――。
全高は十メートルほどだろうか。
簡単に言えば、真っ黒な石板状の機械だ。
アルジェラーナがいないために詳細な説明は聞けないが、おそらくこれが――、
「間違いないと思いますわ」
リーネが言った。
「邪神の封印を解除するための魔導機械。魔力増幅装置や結界破壊用の呪文発射機構が見て取れます」
年若いが一流の魔法使いである彼女が言うなら、間違いないだろう。
なら、破壊一択だ。
「いや、ただ壊すだけじゃ駄目だな」
俺は思案する。
「破壊した上で、できれば修復すらできないように消滅させてしまいたい」
「見たところ、装置自体が結界で守られているようですわ。それをまず突破して本体を破壊。その後に魔法などで消し飛ばすのがよいかと」
リーネが提案する。
「分かった。じゃあ、最初の破壊は俺がやろう」
剣を手に進み出る俺。
「私も――」
ソフィアが側に並んだ。
「……失礼しますね、ジラルドさん」
「えっ?」
次の瞬間、ソフィアの柔らかな唇が俺の唇に押し当てられた。
「きゃぁぁぁぁっ」
「や、やだ、本当に口づけしてる……?」
「むむむ、ジラルドさんとキス……」
ミリエラ、リーネ、ヴェルナがそれぞれ反応していた。
俺の方は正直、ちょっと照れ臭かった。
もちろん、このキスは恋愛的な意味を持つ行為じゃない。
ソフィアのスキル効果をより高めるために行っている一種の『儀式』だ。
とはいえ、キスはキスなわけで、しかも仲間たちの前でするのは――やはり気恥ずかしい。
しばらくしてソフィアが唇を離した。
「ありがとう、ソフィア。これで力を全開にできる」
言って、俺は虹色の闘気を噴出した。
切り札とも言うべき『剣帝の闘気』。
体への反動がとてつもなく大きく、長時間の戦闘には向かない技だが、一撃を放つくらいなら――。
「おおおおおおおおおおおおおおっ!」
裂ぱくの気合いとともに繰り出した斬撃が、装置の結界を――そして装置そのものをあっさりと両断した。
「あ……わたくしの出番がない」
リーネがぽつりとつぶやいた。
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