9 最後の攻防1
「ま、まだだぁぁぁっ!」
ゴルゴ―ンが叫んだ。
「『光想体(ルビ:フォルナ)』を最大出力で起動――あたしの残存聖力をすべて食らい尽くせ!」
どくんっ……!
巨大な心音が響いた。
ゴルゴ―ンの巨体から。
全身の外殻がスライドし、内部が露出する。
どくん、どくん……。
赤い血管のような器官が縦横に走り、紋章のような形を作っていた。
「あれは――」
「光想体の最終戦闘形態――これを使えばあたし自身もただではすまない。だが、貴様らを確実に殺せるだけの破壊力を発揮できる……!」
ゴルゴーンが笑った。
「さあ、終わりだ。一人残らず粉々にしてやる!」
「ならば、もう一度押し切るまで!」
アルジェラーナがふたたび杖を掲げた。
光を宿し、魔力剣と化した杖を手に突進する。
もう一度、先ほどの絶技魔法【燐光竜皇牙】を放つアルジェラーナ。
「ぐおおおおおおっ、この形態でも押し切られるだと……っ!?」
無数の魔力斬撃がゴルゴ―ンの巨体を斬り裂いていく。
先ほどよりパワーアップしているであろう形態でさえ、アルジェラーナの奥義には抗しきれないようだ。
「これが――【選ばれた血族】の力か……」
ゴルゴーンがうめいた。
「我らに連なる呪われし一族が……我らに牙をむくか」
「……ふん」
「裏切り者が」
「我らの力はお主らに与えられたものかもしれん。だが、その力の使い道は我ら自身が決めること!」
アルジェラーナが叫んだ。
「我らは――お主らの駒ではない!」
裏切り者……?
一体、何の話だ――。
疑問に思うものの、今はそれを掘り下げて聞いているような状況じゃない。
「くおおおおおっ……」
ゴルゴ―ンの中心部が砕け、心臓のような器官が露出した。
「そこがコアか。それさえ砕けば、光想体はひとたまりもあるまい」
アルジェラーナがニヤリと笑う。
「ぬかせ! 貴様ももう魔力切れだろうが!」
ゴルゴ―ンが叫んだ。
「貴様の斬撃はあたしのコアまで届かない!」
事実、赤い心臓部――コアの周辺には魔力の防御フィールドが張り巡らされて、アルジェラーナの攻撃の威力が届いていないようだ。
「確かに、二度の【燐光竜皇牙】でわらわの魔力はほぼ尽きた。だが――」
彼女の笑みが深まった。
「コアを露出させれば、それで十分だ……あとは任せるぞ、ミリエラ」
「了解っ、はああああああああああああああっ!」
ミリエラが背中から青い魔力を噴出する。
その勢いで一直線に突進した。
青い閃光と化したミリエラがゴルゴ―ンへと向かっていく――。
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