8 絶技魔法
「あたしも!」
ミリエラが剣を掲げた。
アルジェラーナと同様に魔力の翼を生やして、宙を翔ける。
空中からゴルゴーンの槍を次々と斬り落としていく。
地上から俺が、空からミリエラが。
連係してゴルゴーンの槍をすべて破壊し、アルジェラーナには攻撃させない。
「お、おのれ……」
うめくゴルゴーン。
その間に、アルジェラーナがさらに加速してゴルゴーンに肉薄した。
「集まれ、魔力の光よ――」
掲げた杖が剣と化し、青い魔力の輝きに覆われる。
「また魔法剣か! 無駄だ、あたしの外殻は斬れない! 貫けない!」
ゴルゴーンが吠えた。
「確かにお主の防御力は絶大じゃ。しかし――」
アルジェラーナの周囲に次々と魔法陣が浮かび上がる。
「それは……!?」
「【標的固定】【筋力強化】【速力強化】【高速連続斬撃】」
アルジェラーナが呪文を唱えた。
彼女の両手両足に黄金の光がまとわりつく。
「絶技魔法――【燐光竜皇牙】!」
閃光が、走った。
ごごごごごごごごごごごごごおおおおおおおおおおおおおおおっ……!
そして一続きの破壊音と衝撃音。
「ぬ、おおおおおおおおおっ……!?」
ゴルゴ―ンが大きく後退する。
赤い外殻に大きく亀裂が走り、内部から血のような液体がこぼれていた。
ずん、と巨体が倒れ伏す。
致命傷とまではいかないが、かなりのダメージを与えたようだ。
「どれほど硬い装甲でも攻撃を一点に集中し続ければ、いずれはその耐久限界を超える――単純な理屈じゃな」
つまり――さっきの一続きの破壊音と衝撃音は、彼女が連続で魔力斬撃を放った音だったわけか。
それも百や千単位ではあるまい。
おそらくは万単位以上。
それを一点集中して撃ち続けたのだ。
実現するためには常軌を逸した攻撃力と攻撃精度、筋力が必要なはず。
そのための多層同時展開呪文、か。
「なんて威力だ――」
俺は呆然と立ち尽くした。
「こんな魔法はかつての大戦でも見たことがない……」
「当然じゃ。あの大戦の後、わらわが三十年近くかけて編み出した新技じゃからの」
アルジェラーナが得意げに胸を張った。
「邪神軍は必ず強くなる……それに備え、わらわは力を磨き続けた」
「ぐっ……」
ゴルゴーンがうめいた。
さすがに大きなダメージを受けた様子だ。
「お主たちは以前の大戦より強くなった。だが、強くなったのは、お主たちだけではない。わらわも、そして新たな世代も――」
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