6 光想体ふたたび
俺たちの前方に出現したのは、巨大なクワガタムシのような怪物だった。
その全身がメタリックな光沢を備えた緑色の外殻に覆われている。
「似ている――」
そう、かつて戦った第一階位堕天使ノアの切り札と。
『光想体(ルビ:フォルナ)』と。
「そいつは――ノアと同じ力か」
俺は巨大な怪物を見上げた。
こいつは堕天使の真の姿であり、戦闘能力は人型のときとは比較にならない。
巨体からくる破壊力と耐久力は邪神に準ずるほどの、すさまじい力だ。
「はあ、はあ、はあ……」
異形と化したゴルゴーンは息を切らしていた。
「あたしにこの力を使わせるとはほめてやるぞ、貴様ら……! だがここまでだ……一人残らずぶっ殺してやるからなぁ……くくく」
口調も乱暴なものに変わっている。
あるいは、これが本性なのか。
「そうら、くらえ!」
ゴルゴーンは尖塔のような二本の巨大角を振り下ろした。
「ちいっ、【烈風の盾】!」
アルジェラーナが呪文を唱える。
俺もタイミングを合わせて斬撃を放った。
それらに相殺されて、ゴルゴーンの攻撃が威力を失う。
ごがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!
威力を失ってなお――すさまじい破壊力だった。
「くっ……!」
周囲一面がクレーターと化している。
俺の斬撃で威力を殺し、さらにアルジェラーナの【烈風の盾】で防いだから、俺たちは大した手傷を負っていないが……もし直撃していたら、全員がチリ一つ残さず消滅していただろう。
現に、俺がまとっている闘気の甲冑に微細なヒビが入っている。
最前列にいる俺は、今の衝撃波を正面から受け止めたのだ。
「この鎧に傷をつけるとはな――」
「ちっ、一発で消し飛ばしてやろうと思ったが、まあいい。次で終わりだ」
ゴルゴーンが第二撃を放とうと構える。
あんな攻撃、そう何度も受けられない。
奴が攻撃する前に、こっちから攻撃するしかない。
「守勢に回ったら終わりだ――」
「だな。ならばここにいる全メンバーの全火力を叩きこむぞ」
俺の言葉にアルジェラーナが答えた。
総力戦、だ。
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