2 ノアの想い
SIDE ノア
ノアは邪神の間にやって来た。
名前の通り、邪神シャルムロドムスに謁見するための場所である。
そこには、ノア以外に四人の堕天使が集まっている。
「新たな力を得たようだな、ノア」
渋みのある中年男が言った。
彼の名はザグナーク。
ノアと同じ第一階位堕天使だ。
「ちっ、強くなったからって調子に乗るなよ」
がっしりした体格の男――ラオバルトが忌々しげに言った。
「いいなぁ、新しい武器かー」
小柄な少年――レッツェが羨ましげに語る。
「私とて新たな力を得れば、いずれ筆頭の座に戻れるはずだ……」
ぶつぶつと不満げにつぶやいているのは巨漢の中年男――ガリアヴィエル。
第一階位堕天使は他にもう一人……ゴルゴ―ンがいるのだが、彼女は不在のようだった。
「私は強くなった。あなたたちの誰よりも」
ノアが四人を見回した。
「今度こそあの男を――ジラルド・スーザを殺すために」
新たに得たのは堕天使としての力ではない。
天使としての力――。
あの聖天獣はそう言っていた。
「天使の力、か……」
「天使だと?」
ザグナークが眉を寄せる。
「あ、いえ、その……」
ノアは思わず口ごもった。
天使とは神の尖兵。
そして神とは、ノアの主である邪神シャルムロドムスの仇敵だ。
「天使の力を得る、か」
突然、声が響いた。
「邪神様!」
ノアたちはいっせいに跪く。
気配すら感じさせず、いつの間にか邪神シャルムロドムスがその場に出現している――。
「邪神様、今の発言は、その……」
邪神がいたことに気づかず『天使』という言葉を口にしてしまった事実に、ノアはうろたえる。
邪神の不興を買ってもおかしくはない発言だ。
「なるほど……面白いかもしれんな」
だが、シャルムロドムスは気分を害した様子もなく、むしろ楽しげだった。
「我にはなかった発想だ」
「邪神様……?」
「最終決戦に向けて、我らは万全の布陣を敷いておきたいところだ」
邪神が告げる。
「我が腹心たる第一階位堕天使たちよ。お前たちには、今まで以上に働いてもらうぞ」
「はっ」
ノアたち五人の声が唱和する。
あいにくゴルゴーンだけは交戦中で、この場にいないが。
「受け取れ」
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