12 ソフィアの戦い1
SIDE ソフィア
「えっ? ジラルドさん? アルジェラーナさん?」
ソフィアは呆然と立ち尽くした。
一瞬前まで側にいたジラルドもアルジェラーナたちが、すでにどこにもいない。
この広大な宮殿の中で、たった一人になってしまった。
異界の敵陣に一人きりという状況に、すさまじい孤独感と不安感が押し寄せてきた。
「ま、待って、私を一人にしないでください……」
声が震える。
特にジラルドと分断されてしまったのはショックだった。
いつも彼はそばにいてくれた。
どんな危機でも力を尽くしてソフィアを守ってくれた。
そのジラルドが側にいない――。
「ジラルド……さん……っ」
両手で胸を抱きしめるようにしてつぶやく。
と、
「なんだ? こいつ一人か?」
「英雄クラスの二人は向こう側に行ったらしいな」
「へっ、拍子抜けだ」
突然、声が聞こえた。
扉の向こうから複数の人型シルエットが出現する。
いずれも頭上に光輪を、背中には翼を生やしていた。
堕天使である。
「あの二人は英雄クラスだろうが、お前自身はただの雑魚」
「この場で八つ裂きにしてやろう」
「奴らが無惨に引き裂かれたお前を見たとき、どんな反応をするか楽しみだぞ」
「うう……」
ソフィアは震えながら後ずさった。
堕天使たちに言われるまでもなく、分かっている。
自分が雑魚だ、と。
本来ならジラルドやアルジェラーナと肩を並べて戦うことなどありえない。
ただ自分のスキルが、ジラルドの能力を解放するために必要なだけ。
ただ、そのためだけの要員だった。
「……だけど」
ソフィアは唇をかみしめる。
「【プロテクション】!」
ソフィアは僧侶系の防御呪文を唱える。
彼女のもともとのクラスは僧侶だ。
それほど高レベルではないものの、基本的な僧侶呪文――『治癒』や『防御』系の呪文はいくつも習得していた。
「とにかく……時間を稼がなきゃ」
ソフィアは錫杖を構えた。
「勝てなくていい……ジラルドさんたちが来てくれるまで、私一人でなんとか持ちこたえるんだ……!」
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