11 成長の証
「はあああああっ!」
気合い一閃、アルジェラーナがすさまじいスピードで駆けだした。
「あれは――」
彼女の背後から青い光の粒子が吹き出している。
ミリエラが得意としている『魔力放出による加速術』の原型だ。
こうして間近で見るのは何十年ぶりだろうか。
「あたしだって!」
と、ミリエラが同じように青い光の粒子を噴き出して加速する。
二人は並走しながらゴルゴーンに向かった。
「エルフの魔法剣士が二人、ですか」
ゴルゴーンがスッと目を細める。
その目が怪しい輝きを放つ。
またさっきの石化眼を使う気か!?
「アルジェラーナ!」
「わかっておる! 『リアクトⅦ』!」
ふたたび、さっきと同じ防御魔術を発動する『青の魔女』。
だが――、
「【聖獣召喚】」
ゴルゴーンはニヤリと笑った。
「何っ……!?」
一瞬の隙、だった。
アルジェラーナたちの背後に巨大な蛇が出現する。
聖獣を召喚したか!
ゴルゴーンの瞳が光ったのは、単なるフェイント。
石化の眼を使うと見せかけて、彼女が発動したのは召喚術だったのだろう。
第一階位堕天使ともあろう者が、意外に小ずるい手を使ってくる――。
「石化だけが私の戦術ではありませんよ!」
ゴルゴ―ンが笑う。
先に防御術を展開していたアルジェラーナは次の魔法が間に合わない。
「このっ! 『鳳雷覇導』」
リーネが攻撃魔法を放つが、巨大蛇の表皮に弾かれた。
どうやら強い魔法耐性を備えているらしい。
「『ルーンソード』!」
その瞬間、ミリエラが輝く剣を振るった。
自らの魔力を刃に込めて敵を切り裂く術――いわゆる『魔法剣』だ。
ざんっ!
青く輝く斬撃が巨大な蛇を一撃で切り裂いた。
魔法耐性を備えた蛇も、魔法と斬撃の特性を併せ持った攻撃には耐えられなかったらしい。
「こ、この小娘――」
驚きの声を上げるゴルゴーン。
魔法剣の威力は術者の魔力の大きさに依存する。
それだけミリエラの魔力が大きい、ということだろう。
第一階位堕天使を驚かせるほどに――。
「あたしだって、ジラルドさんやお姉さまに守られてばかりじゃない! 成長してるんだ!」
魔力で輝く剣を構え、ミリエラが叫んだ。
「でかしたぞ、ミリエラ!」
アルジェラーナが剣を捨て、杖を構える。
「ここまで魔力が上がっているとは、な。わらわは魔法主体に切り替え、リーネとともに攻める。剣を使った攻撃はお主がやれ」
「了解だよ、お姉さま」
「反撃開始だ――」
アルジェラーナが不敵に笑った。
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