8 第一階位堕天使ゴルゴ―ン
「ふん、いけ好かない奴じゃ」
アルジェラーナが鼻を鳴らした。
「かつての大戦でお主のような第一階位はいなかった。新たな世代の堕天使か」
「ええ。かつての大戦時には六人の第一階位堕天使がいましたが、今でも残っているのは一人だけ――後の五人は新たな世代に入れ替わりました」
ゴルゴ―ンが微笑む。
「あんな弱っちいクズどもとは違う……あ、いえ、先輩たちの意思を受け継ぎ、より強力になった新生六大第一階位堕天使たちが、ね」
また本音が漏れてるぞ、こいつ。
――と、それはそれとして、
「ソフィアの元に戻ることは可能か、アルジェラーナ?」
俺は小声でたずねた。
「ふむ。空間転移術で戻れるかもしれんが……術を使っている間、わらわは無防備となる。第一階位を相手にそれは危険な賭けになるの」
「……なら、あいつを先に倒すしかないな」
「倒す? このわたくしを?」
ゴルゴ―ンが眉を寄せた。
ウェーブのかかった髪をかき上げ、俺たちを見据える。
「あまり調子に乗らないことですわね――『聖武具召喚』」
呪言を唱えるゴルゴ―ン。
同時に、右手の辺りにまばゆい輝きが発生した。
第一階位堕天使はそれぞれ専用の武具を持っている。
それを召喚し、実体化させているのだ。
「これが私の武具、ブリューナクですわ」
長大な槍を構えるゴルゴ―ン。
「ジラルドさん、下がってください」
「だが――」
「まず、あたしが様子見をします」
「あたしも行くよ~」
と、ミリエラがヴェルナの側に並んだ。
「師匠はソフィアさんのスキルを受けられないから、全盛期状態になれないでしょ? ソフィアさんが帰ってくるまで待機、ってことで」
「ミリエラ……」
「弟子の活躍を見ててよね」
「……分かった。だが、二人とも絶対に無理はするなよ。危険だと思ったら、いったん退くんだ」
「りょーかい!」
「分かりました!}
うなずき、左右から突進するミリエラとヴェルナ。
速い――。
以前に見た模擬戦のときよりも、格段に速い。
しかも二人は動きを交差させたり、ジグザグにフェイントを入れたりと、ゴルゴ―ンを幻惑している。
「この動きは……!」
ゴルゴ―ンの顔から笑みが消えた。
二人が只者ではないと認めたのだろう。
ミリエラとヴェルナはゴルゴ―ンに肉薄すると、同時に攻撃した。
「このっ……!」
槍で応戦するゴルゴ―ン。
ミリエラは魔法弾を交えつつ、鋭い斬撃を放つ。
ヴェルナも双剣を閃かせ、嵐のような連撃を放つ。
「はあああああっ!」
ミリエラとヴェルナの気合いが唱和した。
これが初めての連係とは思えないほど、二人の息は合っていた。
「お、おのれ……」
さすがの第一階位堕天使も手こずっているようだ。
明らかに押されている――。
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