7 黒い茨
「誰だ――」
俺は周囲を見回した。
油断なく剣を構える。
だが、声の主の姿は見当たらなかった。
術か何かで姿を隠しているのか、あるいは遠い場所から声だけを飛ばしているのか――。
「このメンバーで最強は、おそらく『黒の剣帝』――かつて邪神様とさえ渡り合った男。ただし、その力は限定的なものだとノアから報告を受けています」
声が淡々と告げる。
ノア――以前に俺と戦った、第一階位の堕天使だ。
「ならば、封じさせていただきましょう」
「えっ……?」
嫌な予感がする。
ヴ……ンッ。
うなるような音とともに――俺の周囲に黒い何かが現れ、広がっていく。
「なんだ、これは――」
黒い、イバラ。
それがドーム状になって俺の周囲を完全に覆った。
俺の近くにいるヴェルナ、リーネ、ミリエラ、アルジェラーナも一緒だ。
ただ一人、ソフィアだけがもう少し遠くにいて、イバラに覆われていない――。
「まさか……!?」
俺はハッとなった。
敵の狙いは――。
「【転送】開始」
また声が響いた。
ヴ……ヴヴヴヴ……。
同時に、黒いイバラのドームが鳴動する。
次の瞬間、周囲の景色が変わっていた。
さっきまではホールにいたのに、今は無数の書物が並ぶ図書館のような場所に変わっている。
おそらく空間転移させられたのだろう。
さっきとは離れた場所に。
ソフィア一人を残して――。
「やられたか……」
アルジェラーナが唇をかむ。
「ようこそ、我が宮殿の最奥に」
声とともに前方の空間が歪んだ。
そこからスラリとした長身の女性が現れる。
ウェーブのかかった緑色の長い髪。
蠱惑的な美貌。
ゆったりとした白い衣。
「君は――」
「第一階位堕天使ゴルゴーンと申します。以後お見知りおきを」
彼女が告げた。
「五大英雄の『黒き剣帝』と『青の魔女』。そろっているとは都合がいいですわ」
「俺たちを知っているのか」
「英雄だなんて調子に乗っている雑魚どもを早く殺してやりたい……じゃなかった、邪神様と渡り合ったというあなたがたに敬意を持っているのですよ、私」
「……前半で思いっきり本音が漏れてなかったか?」
「気のせいですわ、おほほほ」
ゴルゴ―ンは唇に手の甲を当てて笑った。
【お知らせ】
本作の書籍版1巻が8/5に発売されます!
∴先生の素敵かわいいイラストや書下ろしエピソードを収録しています!
下部の表紙イラストをクリックすると公式ページに飛べますので、ぜひ!
【読んでくださった方へのお願い】
ページ下部にある『ポイントを入れて作者を応援しましょう!』のところにある
☆☆☆☆☆をポチっと押すことで
★★★★★になり評価されます!
「面白かった!」「続きが読みたい!」「作者がんばれ!」
と思っていただけましたら、ぜひポチポチっとしていただけましたら励みになります!
「面白くなかった!」
ときは(ごめんなさい……)★1でも結構ですので、ポチっとしていただけると嬉しいです





