5 宮殿内部へ
俺たちは破壊した正門を超え、宮殿の内部に突入した。
外界と同じく、宮殿の中も一面が白。
壁も、床も、天井も――すべてが純白である。
ちなみに【全盛期ふたたび】のスキル効果は、ソフィアにいったん中断してもらっている。
しかるべき敵が現れたところで、彼女に解除してもらう手はずだ。
「ジラルド、それにヴェルナも前衛は任せる。わらわは後ろにいるから、敵が出て来たら華麗な魔法で倒してみせよう」
アルジェラーナが言った。
「別に華麗じゃなくてもいいが、君が後ろに控えているのは心強いな」
「ふふん、全面的に頼ってくれていいぞ」
「まあ、俺にも少しは出番をくれ」
「ま、いいじゃろ。では、れっつごーじゃ」
と、アルジェラーナ。
「了解だ。いくぞ、ヴェルナ」
「……足を引っ張らないようにがんばります」
「君なら大丈夫だ」
俺は緊張気味の彼女に言った。
「ジラルドさんが一緒だと、いつもよりがんばれます……あたし」
ヴェルナが俺をジッと見つめている。
昨夜、彼女からキスをされたことを思い出し、少しだけ照れてしまう。
「ん? なんかヴェルナさん、いつもと違いますわね」
リーネが不審げに言った。
「いつもと違う?」
「どういうことです?」
「なんとなく……女の顔をしているというか……」
「確かに……師匠とヴェルナさん、目と目で会話してた感じがする!」
「……何かあったんでしょうか……うう」
リーネがミリエラ、ソフィアとヒソヒソ話している。
「こ、ここは敵地だ。気を抜かずに行こう」
俺は三人に言った。
あらためて隊列を確認する。
剣を使える俺とヴェルナが前列、中央にソフィアとリーネ、後列にミリエラとアルジェラーナだ。
「……すみません、ジラルドさん。よけいな気を遣わせてしまって」
ヴェルナが小声で耳打ちした。
「いや、いいんだ。気を引き締めていこう」
「はい……!」
力強くうなずくヴェルナ。
その顔はすでに一流の剣士のそれである。
さすがに気持ちの切り替え方も一流だ。
「なんじゃ、修羅場になるかと思ったのに。つまらんのう」
後方から、アルジェラーナが拗ねたように言った。
「戦場ですることじゃないだろ」
「なーに、たいがいの敵はわらわが攻撃魔法一発で鎮めるのじゃ。多少緩いくらいでよかろう」
俺がたしなめると、『青の魔女』は不敵に笑った。
「それに少し気が緩いくらいの方が、十全に力を発揮できることもあるぞ」
「まあ、それはそうだが――」
るおおおおおんっ。
大きなホールに入ったとたん、咆哮が響き渡った。
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