2 異空間突入
「では、移動するぞ。全員で手をつなぐのじゃ」
アルジェラーナが言った。
俺から時計回りにソフィア、ミリエラ、リーネ、ヴェルナ、そして最後にアルジェラーナ……全員で輪になるようにして手をつないだ。
「――【異界移動】」
アルジェラーナが呪文を唱える。
ぐにゃり……っ!
周囲の空間が大きく歪んだ。
高位魔法とされる空間転移術式。
周囲の歪みはさらに大きくなり――。
次の瞬間、景色が一変する。
「ここは――」
俺は周りを見回した。
一言で言えば、すべてが白い世界。
真っ白い空と大地がどこまでも広がっていた。
「ここが異空間……か」
俺はアルジェラーナを見つめた。
「解除装置は全部ここにあるのか?」
「いや、異空間は全部で六つ。それぞれが微妙に位相のズレた世界になっておる。他の五つはまた別の異空間に配置されているはずじゃ」
「なるほど、この世界を巡って一気に六つの装置を破壊する――ってわけにはいかないか」
「どのみち、装置はそれぞれ厳重に守られておる。六つを次々に破壊するのは難しかろう」
俺のつぶやきにアルジェラーナが言った。
「じゃあ、まずはここの装置を破壊することだけに集中すればいいわけだ」
「うむ。歩いていては時間がかかる。わらわの飛行魔法で一気に飛ぶぞ――【アークフライト】」
呪文を唱える『青の魔女』。
とたんに、俺たちの体がふわりと浮き上がった。
「と、飛んでる……!?」
「振り落とされないように踏ん張っておれ。出発じゃ」
言うなり、俺たち六人はかなりのスピードで空中を翔ていった。
飛行したまま二時間ほど進むと、前方に壮麗な宮殿が見えてきた。
「あれは――」
「封印解除装置がある宮殿じゃ」
アルジェラーナが言った。
「作戦はあるのか?」
「ない」
俺がたずねると即答が帰ってきた。
「正面から侵入し、装置を破壊する。単純な力押しだ。それ以上でも以下でもない」
「まあ、分かりやすくていいか」
俺は苦笑交じりにうなずく。
変わってないな、と思った。
アルジェラーナは策略や戦略といったものが、とにかく苦手だ。
己の力に絶対的な自信を持ち、いかなる敵や状況の正面から打ち砕く――。
邪神大戦のときに何度となく見てきた、それが彼女の信条だった。
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