7 他者を認める気持ち
「はあああああああああああああっ!」
二人の少女の気合いの声が重なった。
ヴェルナが左右の剣を振るう。
ミリエラが長剣を突き出す。
ぎんっ、がぎぃんっ。
剣がぶつかり合う金属音が連続して鳴り響いた。
ヴェルナはさすがに一流の剣士だ。
双剣を巧みに操り、攻防ともにミリエラを圧倒する。
「くっ……強いね……っ」
押されていくミリエラ。
「魔法剣士なら魔法も使ったらどうっ? 剣だけであたしに勝とうなんて調子に乗りすぎよ!」
さらに剣の勢いを強めるヴェルナ。
「なかなかの剣の腕じゃの、あの娘」
アルジェラーナが言った。
「わたくしたち『守護の剣』のエースですから」
リーネが自慢げに胸を張る。
「それに……努力してますからね、ヴェルナさんは」
「へえ、そういう台詞を言うようになったんだな」
俺はリーネに微笑んだ。
他者を認める――。
それはかつてリーネに一番欠けていた素養だったと思う。
少なくとも初めて出会ったときの彼女はそうだった。
圧倒的な力と才能で、他者をあまねく屈服させる。
ねじ伏せ、自分を認めさせる。
それがリーネ・ガウディオーラという少女だった。
だけど――さまざまな人との出会いからか、彼女の精神は大きく成長しているようだ。
きっと『守護の剣』でいい出会いを繰り返しているんだと思う。
「な、なんですの? わたくしを見るのではなく、試合を見てください」
リーネが照れたような顔をした。
「はは、そうだな」
俺は苦笑いをして、ふたたびミリエラとヴェルナの戦いに視線を戻した。
「やっぱり剣だけじゃ、君の方が強いね――」
「当然よ!」
押されるミリエラと押すヴェルナ。
「じゃあ――魔法も使っちゃお」
ミリエラは大きく跳び下がると、剣を腰だめに構えた。
ヴ……ン!
その刀身に青い輝きが宿る。
魔力で刀身をコーティングしているのだ。
闘気で剣全体をコーティングする俺の闘気剣によく似た戦術――。
俺の戦いを見て、学び取ったんだろうか。
「はあっ!」
気合い一閃、ミリエラが刀身から青い魔力刃を飛ばした。
「これくらいでっ!」
が、ヴェルナもそれを寸前で見切って避ける。
避けつつ、突進してふたたびミリエラとの距離を詰める。
近距離ならヴェルナが、中距離ならミリエラが有利、といったところか。
「この二人、実力伯仲だ――」
俺は思わずうなった。
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