6 ミリエラVSヴェルナ
年若いながらもA級冒険者の名にふさわしい一流の剣士ヴェルナ。
冒険者ランクは最下位ながらも、高い潜在能力を秘め、成長著しいエルフの魔法剣士ミリエラ。
現時点での実力はどちらが上なのか――。
俺としても興味深い対戦カードだった。
ただ、ヴェルナは『栄光の剣』で同僚だったし、ミリエラには剣の手ほどきをしている弟子みたいな存在だ。
どちらにも肩入れしづらい状況だった。
「とにかく、二人ともいい試合をしてくれ……」
「何を言っておるか、ジラルド」
『青の魔女』が言った。
「いい試合程度では困る。二人には、堕天使が相手でも互角以上にやり合えるレベルを期待しておる」
「堕天使と……互角に……」
ヴェルナが表情をこわばらせる。
「えへへー、そうだね。あたし、もっともっと強くなるつもりだから、堕天使くらいぶっ飛ばせないとねっ」
一方のミリエラは元気いっぱいだ。
「まあ、さすがに堕天使相手に互角、は難しいかもしれないが……まずは二人の力を存分に見せてほしい。始め!」
俺が合図を出した。
ちなみに審判役も俺だ。
「あたしの力を――見せる」
ヴェルナが表情を引き締めた。
「分かりました、ジラルドさん。あたし、がんばりますっ」
その顔に生気がみなぎる。
そして、闘志が。
「あたしだってがんばる~!」
ミリエラもまた闘志を燃やしているようだった。
「いくよっ」
ヴェルナが双剣を抜いて突進した。
「望むところっ」
ミリエラも剣を手に、同じく突進する。
彼女の場合は魔法剣士だけに、魔法で遠距離から一方的に攻撃するという選択肢もあったはずだ。
そうなれば、ヴェルナの方が不利だっただろう。
もしかしたらヴェルナに何もさせずに完勝することもできたかもしれない。
だが、ミリエラはそれを選ばないようだ。
「剣でも――最強になるんだから。師匠みたいにっ」
ミリエラは背中から青い魔力を噴出し、さらに加速した。
【お知らせ】
本作の書籍化が決定しました! これも応援してくださった読者の方々のおかげです!
下部のリンクから書報ページに飛べます。そこに1巻の予約ができるamazonのリンクが載っていますので、気になる方はぜひ~!
∴先生の素敵かわいいイラストや書下ろしエピソードを収録しています!
【読んでくださった方へのお願い】
ページ下部にある『ポイントを入れて作者を応援しましょう!』のところにある
☆☆☆☆☆をポチっと押すことで
★★★★★になり評価されます!
「面白かった!」「続きが読みたい!」「作者がんばれ!」
と思っていただけましたら、ぜひポチポチっとしていただけましたら励みになります!
「面白くなかった!」
ときは(ごめんなさい……)★1でも結構ですので、ポチっとしていただけると嬉しいです
1巻の書影です!