5 出立の前に
封印解除装置を破壊するため、俺たちは異空間へと向かう手はずだった。
そのメンバーの定員は六名。
すでに俺とソフィア、アルジェラーナ、ミリエラ、リーネの五人が決定している。
残りの一人を誰にするべきか、だが――。
当然、激戦が予想されるため、実力者であることが最低条件である。
と、
「アルジェラーナ様、あたしはこの『守護の剣』に所属する冒険者、ヴェルナ・ロードと申します」
ヴェルナが進み出て、アルジェラーナに一礼した。
「ランクはA級……足手まといにはなりません。どうか、あたしをアルジェラーナ様たちの一行に加えていただけないでしょうか」
彼女の瞳は、燃えていた。
強い意思を感じる。
「ヴェルナ……?」
突然の申し出に俺は驚いて彼女を見た。
「あたしでは――足手まといでしょうか」
俺にすがりつくようにしてヴェルナがたずねる。
「ふむ。現状では剣士とその補助であるジラルドとソフィア、魔法剣士のわらわとミリエラ、そして魔法使いのリーネという構成じゃ。剣士であるお主が加わってくれれば、前衛メンバーが一名増える……悪くない」
と、アルジェラーナ。
「ジラルドさん、どうでしょう?」
俺の方を見るヴェルナ。
「確かに君の実力の高さは知っている。かつての『栄光の剣』でもトップクラスだったし、A級の中でも、S級にかなり近い位置にいるだろう。実力的には、条件を十分に満たしていると思う」
答える俺。
「俺はヴェルナをメンバーにしても大丈夫だと考えている。アルジェラーナはどう思う?」
「アルジェラーナ様――」
ヴェルナがふたたび『青の魔女』に向き直った。
「確かに実力は高そうだが……わらわは肩書ではなく、この目で見た者しか信用せん。実際にお主が足手まといにならないかどうかを試したい」
アルジェラーナが顎をしゃくった。
「わらわの前で実力を見せてくれるか」
「それは――アルジェラーナ様と戦うということでしょうか」
ヴェルナは言いながら、炎が噴き出るような視線をアルジェラーナに向けた。
さすがはヴェルナだ。
『青の魔女』を相手にしても、決してひるまない。
「ふむ。いい目じゃ。気に入ったぞ」
アルジェラーナは満足げに笑った。
「だが、お主が戦う相手はわらわではない。ミリエラ、お主と彼女で一戦交えてもらおうかの」
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