4 継ぐ者2
「そして――あんたの決意はリーネがきっと受け継いでくれる」
俺はリーネを見つめた。
「リーネ、君もメンバーに加わるんだ。行けるか?」
「でも、おじいさまを助けに行かなくては――」
「ガウディオーラの判断だ。彼が堕天使を一人で食い止める。戦力を分散しないようにな」
俺は彼女に説明する。
「でも……っ」
「今、もっとも大切なことは封印解除装置を破壊することだ。第一階位の堕天使が攻めてきたのは、それを妨害、あるいは牽制するためだろう。奴らに釣られて動くわけにはいかない」
心を鬼にして、こんこんと説明する。
「うう、おじいさまぁ……」
リーネは泣いていた。
呑み込みの早い彼女のことだ、すでに状況を理解したのだろう。
だからといって、悲しみのすべてを飲みこんで表に出さない、というのはとても無理だ。
いくら超天才とはいえ、まだ十四歳の少女なのだ。
祖父が命がけで堕天使と戦っている状況――。
自分が後を託されたプレッシャー――。
それらが入り混じり、精神的に限界を迎えたんだろう。
いくらなんでも酷かもしれない。
だけど、ガウディオーラは――きっと信じているんだ。
リーネなら、その重圧に打ち勝てると。
そして、俺も彼女を信じることにする。
ガウディオーラが信じるリーネを、俺も信じる――。
「わたくし、行きます」
リーネは涙でぐしゃぐしゃになった顔を、キッと上げた。
「そして、今日からは――わたくしが新たな『白の賢者』です」
毅然と告げるリーネ。
「そのつもりで、戦います」
「よし、頼むぞ」
新世代の英雄になるであろう少女に、俺は言った。
――俺たちがギルドに戻ってから半日ほど。
ミーシャを呼ぶために異能の里へ飛んでいたアルジェラーナが帰還した。
「そうか、ガウディオーラは来られぬか」
俺の報告にアルジェラーナがうつむいた。
「こちらもミーシャは参加不可だった。最近、異能の里を襲う邪神軍の手勢が増えているようじゃ。そいつらとの戦いで手いっぱいらしい」
「そうか……」
「ということは現時点でメンバーは俺とソフィア、アルジェラーナ、ミリエラ、そしてリーネ……合計で五人だな」
「うむ。あと一人だけ枠があるの」
と、アルジェラーナ。
残り一人か。
一体、誰にするべきか――。
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