1 『守護の剣』にて
「ジラルド様!」
冒険者ギルド『守護の剣』に行くなり、リーネが駆け寄ってきた。
長い金髪を縦ロールにした、小柄な美少女だ。
「しばらくぶりだな。元気そうで何よりだ」
「ええ、毎日大活躍ですわよ」
力強く告げるリーネ。
実際、彼女はこのギルドの将来のエースとして大きな期待を集めている、とヴェルナから聞いている。
『白の賢者』ガウディオーラの孫娘にして、素質は彼を凌ぐかもしれない天才少女――。
年若く、精神面でも実力面でも未熟な部分は見受けられるが、成長すれば本当にガウディオーラを超えるかもしれない。
将来が楽しみな少女だった。
「ジラルドさん!」
今度はヴェルナやサーナが駆け寄ってきた。
ヴェルナはこのギルドの現エースを務める女剣士で、サーナは魔法使いのエルフ娘。
この二人とは、俺が以前に所属していた『栄光の剣』で同僚だった。
「訪ねてきてくれるなんて……あたし、嬉しいです」
ヴェルナが頬を赤らめて言った。
「この間は世話になったな、ヴェルナ」
「そんな……あたしは何もできなくて……役に立てなくてすみませんでした」
「そんな言い方はするな。バルツを撃退することができたじゃないか」
俺はヴェルナを慰めた。
「……ありがとうございます」
「サーナも。しばらくだな」
「ジラルドさんもお変わりなさそうです。むしろ、前より若返って見えるくらいですね」
「はは。まあ、調子はいいよ」
俺はサーナに微笑んだ。
気力体力ともに充実、という感じがある。
それはソフィアのスキル【全盛期ふたたび】を受けるたびに感じていることだが、最近はその兆候が強くなってきたかもしれない。
まるで本当に二十代の全盛期に心身ともに若返っているような――。
そんな感覚があった。
「再会を喜びたいところだが、そうもいかないんだ。リーネに頼みたいことがあってな」
俺は要件を切り出した。
「おじいさまに会いたいのですか?」
リーネが俺を見つめる。
「ああ、緊急の要件でな。リーネの方から連絡はとれないか?」
「わたくしとおじいさまの間で通じる専用の通話魔法があるので、連絡するのは簡単にできますわよ」
と、リーネ。
「それは助かる。こっちに来るように伝えてもらえないか? ジラルドがそう言っていた、と」
「承知いたしました」
リーネは長大な杖を振りかざし、呪文を唱える。
「【回線確保】【通話開始】」
杖の先端が輝いたかと思うと、空中に魔法陣が描き出された。
ヴ……ヴヴヴ……!
そこにガウディオーラの姿が浮かび上がる。
ガウディオーラは――全身血まみれだった。
身に付けた白いローブも大半が赤く染まっている。
「おじいさま……っ!?」
リーネが愕然と叫んだ。
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