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終わる今日 始まる明日の為に


先ず飛び出したのはアゼル。互いの剣が瞬時に幾度となく火花を散らし交わされた。その合間を縫って勇夜が滑り込むように間合いに入り、一撃腹部に打ち込むがギルヴァスの体が予想以上に硬くなっており、ダメージは皆無だった。しかし勇夜は当たり前のように怯まずアゼルと連携をとり、ギルヴァスに余計な隙を与えないように絶え間ない攻撃を続けた。ギルヴァスは次第に押され出し、無理矢理自身の目の前に結界を発生させ2人の攻撃を弾き空中へ飛ぶ。弾かれながらアゼルは素早く体勢を戻し羽を広げ、いち早く後を追う。勇夜は一瞬遅れながらもそれを追い地面を蹴って飛ぶ。


"空蒼剣(くうそうけん) 天裂蒼昇(てんさそうしょう)"

ギルヴァスの下方から迫るアゼルは、蒼い力を纏わせギルヴァスに向けて剣を薙ぐと蒼い剣閃が飛ぶ。ギルヴァスは反射的に後方へ羽ばたき、それを避けるとそのまま勢いをつけてアゼルの目の前へ瞬時に移動し剣を振る。アゼルは右手に持った剣がまだ振られたままであり、防御には間に合いそうにない。


"空蒼剣 蒼キ虚巳(あおきうつしみ)"

アゼルは左手に蒼い力で出来た剣を作り出し、逆手で握って迫る剣を切り上げる。互いに競り合うが純粋な力ではアゼルに分が悪い。アゼルは左手の剣を流すように滑らせ体を捻る。


「しっ!」

"波穹旋輝(はきゅうせんき)"

ギルヴァスの剣に逆らいながら体を捻って回転し、両手の剣で連撃を与えた。ギルヴァスは全て直撃したが体に大きな傷は見えない。しかし体勢を崩していた。


「っ!」

勇夜は一度アゼルとギルヴァスを通り過ぎ、上空に出した結界を蹴って体勢を崩したギルヴァスの顔面を打ち抜いた。ギルヴァスは少しばかり仰け反るがその場から動く程のダメージはない。


「ふっ!」

勇夜は続けて結界の足場に乗って屈み、振り向き様にギルヴァスの鳩尾付近に左の後ろ蹴りを見舞い、そのまま勢いをつけて回り飛び上がって右の回し蹴りを頭部に向けて放ち、ギルヴァスは後方に飛ばされた。


「「ハアァッ!」」

勇夜とアゼルは息を合わせたようにギルヴァスに向けて魔力弾で追い討ちを掛ける。ギルヴァスは避けることなくその攻撃をまともに受けた。2人は更に追撃を掛けるために飛び込むが、その前にギルヴァスからの風圧で止まってしまう。


「………ふむ」

姿を見せたギルヴァスは、体の感触を確かめるように手を握ったり開いたりし、何かに納得した。構えらしい構えを解いたギルヴァスにいち早く飛び込みアゼルは剣を振り、ギルヴァスはそれに合わせ剣を互いに交差された。


「オオォォォォォォ!」

幾度か交わされた時、ギルヴァスは雄叫びを上げアゼルを力押しで弾く。更に空中で二本の魔力で出来た剣を発生させ、回転しながらアゼルに放つ。アゼルは素早く動き、二本の剣を切り裂く。


「ハァァァァァァ!」

アゼルと入れ違いに今度は勇夜がギルヴァスの前に出た。勇夜は四肢の全てを使い、ギルヴァスを攻める。しかし今まで通用していた攻撃は全てギルヴァスの剣によって防がれていた。


"旋渦崩拳"!

半端な攻撃では通用しないと肌で感じた勇夜は、先程使った強力な技を放つ。だがその攻撃はギルヴァスの剣を持たない左の掌一つで止められた。


「っ!」

勇夜は驚愕の表情を隠せなかった。自身は手加減などしていない。だというのに容易く止められ、そしてギルヴァスは勇夜が逃げる前に受けた掌から黒い力が溜まり、それを爆発させた。勇夜はまともに受けてぶっ飛んでしまい、地面に強く叩きつけられた。


「ふっ!」

アゼルはギルヴァスの後ろに素早く移動し後頭部に剣を振るが、ギルヴァスは振り返りもせずにアゼルの攻撃を自身の剣で受ける。


「ちぃっ!」

アゼルは舌打ちし、二本の剣で手数を増やしてギルヴァスと切り合い続けた。更に強く更に速く…アゼルは一撃一撃に全力で、限界など越える勢いでどんどん攻撃も自身の力も上がっていく。だがそれに呼応したかのようにギルヴァスもアゼルに合わせ力を上げていく。ギルヴァス自身ここまでの力を出したことも無いのだろう。姿が変わってもなお成長を続け、アゼルとの戦いを楽しみ、これまで以上に生を実感していた。


「ハアァァァ!」


「オオォォォ!」

幾度も切り合い続け、拮抗した力で弾かれた両者は剣に眩い力を纏わせて突っ込み剣を振る。そして何度目かの競り合いの末、両者はまた離れ互いに向き合った。


「ハハ!凄いぞこれは! 我の中からどんどん力が溢れ高まっていく!体が燃えるように熱いぞ蒼帝ィ! どこまで行けるか我はもっともっともっとぉ! …ッ!ゴホッ!」

体から溢れ出る力が猛々しくギルヴァスから昇る。見るもの全て恐怖に染め上げるような力は止まること知らずにギルヴァスの声と共に広がるが、急にギルヴァスが胸を抑え苦しむと、口から血が溢れ吐き出されると同時に立ち上る力が飛散していた。アゼルは警戒を解くことは無かったが困惑もまた隠せなかった。


「これが我の限界?……フフ……フハハハハ!そうかそうか! これ以上は我の体が保たないか! ………だからどうした!! 我はまだ満足してないぞ! 我の欲は!我の願いはまだ欲したまま終わりを迎えるつもりはない!」

ギルヴァスの姿は異様だった。口からは血を流し、体の所々の甲殻にヒビが見え、明らかに本人の意思とは別に体が悲鳴を上げているにも関わらず、高笑いを続け唸る力の放出が再び始まった。


「イカれるのもいい加減にしろよ…終わるだけなら勝手にしろ!お前の自分勝手な願いのために多くの命が失われてる。だから俺がお前の理不尽を終わらせてやる!」

"薄々気付いてた。こいつはただ人を滅ぼしたい訳でも戦争に勝つ為でもない。自分自身が戦うっていう欲を満足させるための結果として全てを終わらせるだけなんだ。ふざけんなよ! そんな未来に…自分の為だけの願いに何が残るっていうんだ。こいつは止まらない、自分が命尽きる時を…全て出し尽くして"終わらせてくれる存在"を見つけるまで……だから俺が!"

アゼルはギルヴァスの存在をこの戦いの意味について改めて理解した。だからこそ負けるわけにいかないと再び心に誓い、決意の瞳を燃やしギルヴァスとぶつかる。



ーーーーーーーーーーーーーーーーー



「っ!ゴホッ!」

叩きつけられた勇夜は動けず咳き込み、全身を貫く痛みで血を吐く。


("……勇夜君、もう無理だよ。君の体が保たない。僅かな可能性だとしても後は彼に任せよう。君は充分僕に…僕達に見せてくれたよ。君の想いも行動もきっと伝わる。僕は終わる世界だとしてもそんな君に生きて欲しいと本気で思ったよ。だから今ならまだ元に戻せる。やれることはやったんだ。力を解いて、後は僕が何とかするから")

勇夜の頭に聞こえるイオの声は、諦めでも慰めでもない言葉を優しい声で聞こえていた。イオは本気で偽りなく勇夜を生かそうとしていた。イオの言葉は勇夜の立場にあれば魅力的な言葉だ。既に限界を越え、いつ死んだとしてもおかしくない。体は内も外もボロボロ、指先一つ動かせない程の痛みが勇夜を止めどなく襲っていた。ここまで戦えただけで誇ってもいい、誰からも誉められることはあっても責められることは無いだろう。後はただ勇夜がそれを望めばきっとイオは勇夜を何とかして生かしてくれるだろう。…………そうそれを望めば……


「っ!まだ……だ」


("勇夜君?!")

勇夜は立ち上がろうともがく。ほんの少しづつ手が、腕が、足が、頭が動く。端から見たなら勇夜の姿を理解出来る人は居ない。血を流し痛々しい傷を残し、歯を食い縛った苦し気な表情をしていながらも立ち上がろうとする勇夜の想いは勇夜にしか分からない。


「俺の……俺の立ち上がる為の足はまだっ!動ける!」

ゆっくり腕と頭を垂らしながら勇夜はふらつきながら立ち上がる。


「俺の…拳を握る為の手はまだっ!握れるんだ!」

拳を作り前に出す。


「俺の前を向く為の頭はまだっ!付いてるんだよ!」

下を向いていた頭は前を向き、その瞳は生きることを諦めていなかった。


「まだ俺は全部出し切ってない! それなのにこれだけやったからって! もう無理だからって誰かに頼って諦めれるかよ! 出し切ってそれでも駄目なら諦めれるかもしれない。だけど今は! 今だけはまだ終わるわけにいかないんだ!」

勇夜は叫ぶ。誰に言っているのか、イオか……それとも自分か……どちらにしても今の勇夜を止めることは誰も叶わず、きっと戦い続けるだろう。そんな勇夜の言葉を聞いたイオはそんな事を言われると思わずに驚いていた。


("………分かったよ。ならこれが最後だよ。君は聞いてくれるか分からないけど一度だけ……一撃だけ君に託す。それが良くても悪くてもそれ以上は無しだ。君が望まなくても僕は君を助けるために動くからね")


"……ありがとうございます"

勇夜はイオの言葉をしっかりと受け止めた。イオが本当に自分を想ってくれてることも、自分以上に自分の限界を教えてくれてることも、許されなくても飛び込むつもりだった自分を肯定してくれて後押しもしてくれたことに感謝をして……


「すぅ…はぁ」

"一撃……たったじゃない。一撃も打てる…だから全身全霊で俺の生まれてからの全てを出し切る。今の俺には俺だけじゃない想いがある。誰かの為に戦うのも自分の為に戦うのも想いを背負って戦うのも俺には過ぎたことなのかもしれない。それでも今俺がここにいられるのは皆が居たから…俺が…今の俺という存在が生まれたから……これが終わったら言おう。母さんに……兄さんに……俺の大切な皆に……"




"……俺は生まれてきて良かった…生んでくれて…一緒に居てくれて…出会ってくれて…ありがとうって……だから今この気持ちを全部ぶつける"

勇夜の全身を纏っていた光は一度飛散して周囲を漂い、そして勇夜の左腕に再び集まって行く。これが最後、それがどのような終わりだとしてもこれが本当の終わりになるのだから



ーーーーーーーーーーーーーーーーー



「セアァァァァァ」


「オオォォォォォ」

アゼルとギルヴァスの戦いは出し切る覚悟が混じり合い熾烈なものとなっていた。体中少なくない傷を作り、ギルヴァスは時折体が思うように動かずイラつきながらも力の高ぶりを止めず、アゼルはギルヴァスの力がその想いに答えているように形を変える攻撃を悪態をつきながら防ぎ続け、アゼル自身も強力な攻撃をするための力を溜めていた。


「グオォォォォ」

数度強大な力の競り合いの後にギルヴァスの体が限界を迎え始め、もがき出した。


「っ!」

"ここだ!"

アゼルはギルヴァスの動きを見て更に上空へ飛び、剣を掲げてこれまで以上の力を溜め始めた。


「おの…れぇぇぇ!」

ギルヴァスはもがき苦しむが無理矢理自身の体を引き裂きその痛みで制御を戻し、まだ溜め続けているアゼルに向けて自身も剣に力を溜め始めた。


"溜まりが早い! 力を使いすぎたか、くそ! まだ足りない。間に合ってくれ"

アゼルは倒しきるまでの力を溜める時間がまだ足りていない。元々の力の総量が桁外れなギルヴァスの方が強力な力を使うための溜めが少ないのだ。


「ハアァァァァァァ!」

突如下方から声が響く。そこには勇夜がギルヴァスに向かって飛び上がっていた。全ての力を集中させている勇夜には先程のような結界を使った移動や速度は出ない。出来るのは爆破させて飛び上がることだけ。そして勇夜はギルヴァスに近付くと更に爆破で速度を上げて間合いに入る。

光る左腕を打とうとする勇夜、しかし速度が圧倒的に劣る状態でギルヴァスが反応出来ないわけがなく、鋭利な爪で左腕を深く切り裂き勇夜の左腕を纏っていた光が消えた。

端から見れば誰もが失敗したと思うだろう。だが消えた筈の光がいつの間にか右腕に移っていた。勇夜はこの一撃を確実なものとするために左腕を囮として犠牲を払っていたのだ。


「でぇぇりゃゃゃゃゃゃゃ!」

勇夜の攻撃が放たれ、ギルヴァスは左手でそれを受け止めた。


"出し切れ!絞り出せ!"


「ッオ"オ"ォォォォォォ!」

勇夜は噴き出す自身の血も省みずに更に押し出す。そしてギルヴァスの限界を迎えていた体のヒビが広がり左腕が弾かれ、勇夜の拳がギルヴァスの顔面を捉えた。


「っ!やれぇぇぇぇ!」

ギルヴァスの剣に纏われた力は消え、勇夜の攻撃を諸に受けたギルヴァスは無防備、アゼルはその瞬間を見逃さなかった。だが問題が起きた。ギルヴァスと勇夜の位置が離れておらず、アゼルの攻撃範囲に入っていたから……アゼルはほんの少し迷ってしまう。だがそれを知ってか知らずか、それに答えたのは勇夜だった。


"……すまない…勇夜君"


「"空蒼剣 聖蒼ノ光(せいそうのひかり)"!!」

蒼い力が剣から輝き伸び、それをアゼルはギルヴァスと勇夜に向けて振り、そこから強大な蒼い力が放たれた。




"やりきったよな……結局何も約束守れなかったけど……でも頑張ったよな…皆…"

勇夜は迫る蒼と空を見上げて、スローになった世界を見ていた。先程までが嘘のように満足した気持ちになっていた勇夜は死を受け入れてしまっていた。



"…………な"

そんな勇夜に聞こえる筈の無い声が聞こえてきた。


"諦めるな勇夜!"


"居なくなったら許さない!"


"最後まで足掻けよ!"


"欠陥らしく無様でも生き残れ!"


"もう誰にも居なくなってほしくない!"


"死ぬんじゃねぇぞ!"


"弟君!"


"戻ってこい勇夜!"


"勇夜君…"

大事な友人の声、先輩の声、兄の声、そして大切な人の声……

本当の声かはたまた自分で作り出した幻聴か、それでも勇夜の目を覚まさせるには充分だった。


「ぐぅ!」

勇夜は動かない体の前で魔力を爆発させて少しだけ後ろに飛ぶ。それが精一杯、だがその少しが命運を分けた。アゼルの光が勇夜を僅かにそれ、直撃することは避けられた。

蒼い光はギルヴァスを飲み込み地上を直撃、巨大な蒼い光が立ち上り神々しい光を辺りに放ちながら徐々に消えていき、ギルヴァスのいるであろう場所には砂塵だけが残った。


「勇夜君!」

アゼルは勇夜が攻撃を逃れたことを見ていた。アゼルは放った後に落ちる勇夜に向かい、寸前の所で勇夜を掴み地上への落下を止めることが出来た。


"息はある。でも危険だ"

アゼルは最大の力を放出したことで纏いが解け、汗を流していたが気を失っていても勇夜の息があることにほっとしていた。まだギルヴァスの状況は分からないが無事では無い筈だと警戒は緩めることはないが、手応えも感じていた。


「カハッ……アハハハ」


「っ!」

砂塵からユラユラと人影が現れ笑い声が響く。影はゆっくりと歩を進め、アゼルの前に姿を表した。


「冗談キツいぞ……」

アゼルの視界に入ったギルヴァスの姿は魔煌化が解け、始めと同じ姿ではあった。服装もボロボロ、だというのに傷という傷が無く。無傷ではなくともその姿にダメージを受けている印象はなかった。

アゼルは勇夜を下ろし、なけなしの力を出して構える。


「………もうよい」

そう言ったのはギルヴァスだった。見ればギルヴァスに戦闘の意思は見られず、不気味なほどの雰囲気が漂っていた。


「どういうことだ?」

アゼルは戦闘の意思は感じられずとも、その真意が分からない以上構えを解くことはできなかった。


「なに、我はもう戦うつもりは無いということだ」

ギルヴァスから出る言葉はアゼルを驚愕させた。これまでしてきたことを踏まえてもあり得ないことだからだ。


「……我がこれ以上戦っても望む物は得られないと分かったのだ。我は限界を越えてまで戦えたことに充実し、満足することが出来た。だが我の体はそれとは別に死ぬことが出来ぬ。それを理解してしまったのだ。我自身がお前達の力と全てを出し切って戦い負けたのだ。我が戦う理由はもうない。我に残されたのは忌々しい不死の呪いのみ……これ以上の生を実感出来ぬなら虚しいだけであろう?」

ギルヴァスの言葉に嘘はなかった。言葉通り取るなら人界は魔界との戦争に勝ったこととなる。しかしギルヴァスという脅威が残ることには変わりがない。アゼルは悩んでいた。


「例えお前の言葉を信じたとして、お前の存在がある限り俺達は……人界の人々は納得出来ない。その呪いが本当なら尚更だ。このまま勝利を選んだとしても人々は幸せになれない。お前の存在がいつか混乱を巻き起こすだろう」

アゼルは人界を導く立場として、安易な選択をすることはできなかった。


「であれば我は再び眠りにつこう。いや……封印と言った方が正確かもしれん。その術は知っているのだろう? それに魔界にはリベラリムが使用した術式がまだ残っている。それで我を封じればよい」


「分かった………なら時間も惜しい。すぐ向かおう」

アゼルは納得せざるを得なかった。最早これが最善の選択なのだと思った。妥協とも言えるかもしれないが、倒せないなら封じることしかないのだからと……


("待って")

ギルヴァスと共に移動しようとするアゼルの頭に声がした。それはイオの声であった。


("封じるなら僕をつれていって欲しい。まだ騎士達の力を残してある。既に勇夜君の体を可能な限り治癒したから")

アゼルは勇夜の光る手甲に手を置くと、そこから小さな光が出てきた。アゼルは敢えて多くを聞くことはしなかったが、心配していた勇夜の状態が知れたことで安心し、その光を手にギルヴァスの発動させた魔法陣に入った。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


("ありがとう勇夜君。君は本当に凄いことをした。君が居たから僕は希望を持てた。君が居たから僕達は僕達の意味を知ったんだ。僕達は残りの力で魔界の王を封印する。"陸真"は恐らく前のように使えないかもしれない。でも君なら大丈夫。きっとこれからも君は君なんだから")

勇夜が暗い意識を漂うなかでイオの声が聞こえ、勇夜はイオに手を伸ばす。そんな勇夜を優しく見るイオはそれ以上何も言わず、消えていく。


"イオさん! 俺の方こそ貴方が居なかったら何も出来なかった!貴方が居たから戦えた! 貴方が居たから俺は大切な人達を守れたんです! だから……だから!"


そこからの記憶は無かった。次に目が覚めたのは朝日に照らされたテントに寝ていた自分と、目が覚めた事に喜ぶ大切な人達の顔だった

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