表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/77

繋がる力


「ここまでとはいえ、力を解放するのは久方ぶりです。まして貴方方人族の子らに見せるとは……ですがやはり力を込めてしまうと気持ちが高ぶってしまいます。先程のように戦ってしまえばうっかり殺してしまうかもしれませんが、その程度であればそれも運命として受け入れましょう。では再開しましょうか」

リベラリムは体の感触を確かめるように手を握ったり開いたり、体を軽く動かす。窮屈だったものが外れたようにリラックスし、話を始める。最初は構えというものをしていなかったが、話を終えると足で踏ん張りを作って右手を引き、そして




「ぐぅぅッ!」

金属音を鳴らし、リベラリムと勇夜は互いの右拳を打ち合わせる。勇夜はリベラリムが突撃してくるであろう事を読み、その前に"瞬火"で詰めて出来るだけ優位に立とうとした。だがリベラリムは反応というよりは、純粋に先程とは比べ物にならない速さで前に進み、敢えて勇夜の攻撃に合わせた。


"炎吼重覇砕"!

勇夜はただ拳で殴り会ったのではなく、威力の高い攻撃をしていた。しかしその攻撃は進むことはおろか、既にリベラリムの拳に負け、リベラリムに押されて勇夜は後ろに飛ばされた。

未だに空中にいる勇夜をリベラリムは追撃し間合いに入ると更に右手を突き出す。だが勇夜は届く前に足裏を爆破させてその距離を少しだけ開けて間合いから外れる。


"掌底煌波"

すかさず自身の態勢を整えてリベラリムの軌道を読み、攻撃を避けて技を繰り出した。発動重視の爆破とはいえ、ダメージを与えられなくても衝撃によって動きを止められる………はずだった


「っ!」

勇夜は目を見開く。その視界に映るのは瞬きすれば届く距離にある鋭い爪。リベラリムの右手は勇夜の頭を掴もうとしていた。



「ハアァァァァッ!」

勇夜に届くその瞬間、横からセリエが剣に水を纏わせ飛び上がり、上方からリベラリムに剣を振り下ろす。その攻撃にリベラリムは一度羽ばたいて少し後ろに下がり、スレスレでセリエの剣が避けられる。そのままセリエは地面に向けて剣が振られた。


"水輝跳(すいきちょう)"

セリエの剣は避けられ地面に当たったが、まるで地面から跳ねるように剣の軌道が変わり、リベラリムに向けて剣が振られた。

しかしリベラリムはそれに反応し、更に羽ばたいて間合いから離れた。


「"黒手の鎖"」

勇夜とセリエから離れた場所でリベラリムの足元に魔法陣が発生し、そこから黒い手の形をした鎖が巻き付こうとリベラリムを襲う。


「ふむ」

リベラリムは迫る魔法に視線を向け、品定めするように見ると軽く右腕を振り、迫っていた魔法が消滅した。そして凄まじい速度でアリサに迫り、右腕の刃を切り下ろす。


「"守光の"っ!」

アリサは迫る刃を防ごうと魔法を発動しようとするが間に合わない。アリサは反射的に目を瞑ってしまうが、金属が削れる音が鳴り響くと目を開けた。


「ぬぐぐッ! 早く離れろ!!」

アリサの目に入るのは、リベラリムの刃を両手で抑えながら盾で防ぐソルの姿だった。ソルの叫び声と共にアリサは直ぐに離れる。

始めに対峙した際に出来た盾の切り傷は浅くない。その状態で更に強い力を受けているのだ。盾が壊れるのも時間の問題だろう。


「負ぁけぇるかぁぁぁぁぁ!」

ソルは力の限り踏ん張り、全魔力を使い切らんばかりに身体強化をし、周囲がその魔力に震える。


「オォォォォラァァァァッ! っくらえぇ"土槍壁ぃ"」

ソルはリベラリムの刃を受けながら地面に受け流す。そしてそのまま盾を地面に突き立てて技を出した。ソルの目の前から大きく鋭利な太い土の槍が地面からリベラリムに向けて上空へ突き出て、リベラリムの姿を消す。ソルからリベラリムの姿を視認することはできなかったが、他の者達がリベラリムの場所を確認する。

どうやらリベラリムは上空へ居るようだ。ソルの土槍壁を避けるためなのか飛び上がり、先端近くで下を見ていた。

この中でリベラリムの動きに反応出来たのは4人いた。そしてその1人である靖耶はソルの発生させた土槍壁を使い、鞘に戻した刀を握りながら駆け上がり、先端で飛び上がって抜刀の構えをしながらリベラリムに接近した。


"如月流剣術 抜刀 月光夜刹(げっこうよせつ) 焔火(ほむらび)"

鞘から放たれる剣閃をリベラリムは刃を振って受け止める。不発に終わったように見えたが、靖耶は刀を流して火花を散らし、刃の交差している場所を爆発させ、リベラリムの刃が少しだけ浮き上がる。

靖耶は重力に逆らえずに下に落ちていくが、その前に足に何か足場?のような反発する何かが発生し、一時的の足場の役割を果たす。靖耶は一瞬下を見るとヴィルが上に向かって手を広げているのがわかった。靖耶は心の中で感謝しつつ、少しだけ現れた隙を逃さないように、次に繋げるために左手に鞘を持って両腕を交差させる。


"蓮枝双葬"

浮き上がった刃を更に弾くために靖耶は技を繰り出した。リベラリムの刃は渾身の攻撃を受けて右腕ごと浮き上がり、隙を作った。


「流石会長、いい仕事しやがる。合わせろよエル!」


「わかってる。けど足を引っ張らないで」

今度こそ落下を始める靖耶と入れ替わりに来たのはグローザとエアルだ。靖耶よりも上に飛び上がり、リベラリムの態勢が整わないうちに追撃しようとしていた。


「へっ! わかってらぁ! いくぜ "雷蹂堕唸"」

始めと同じ雷の纏った鎚でリベラリムの頭部を狙う。リベラリムは右腕は間に合わないと踏んだのか、頭部付近で結界を張って防ぐ。

このままでは始めと変わらずに防がれてしまうだろう。このままであれば……


「"旋風(せんぷう) 奏下墜(そうかつい)

グローザより遅れて、エアルはグローザの後ろから鎚の後方に勢いのある風の魔法を叩き込む。威力は底上げされているが結界を破るにはまだ足りない。


「「ハアァァァァァァァ」」

2人の声が重なり、グローザの鎚に変化が訪れる。鎚に纏われていた雷がエアルの風に吸収される。実際にはエアルの風が雷を圧縮するように集め鎚の後方は更に激しく唸っていた。そして甲高い音と噴き出すような熱量を帯びた物が出来上がろうとしていた。


「ぶち砕けぇぇぇ "流星(りゅうせい) 雷天墜(らいてんつい)"!!」

勢いの増したグローザの攻撃は遂にリベラリムの結界を破り、頭部を狙う。

だがリベラリムの反応が勝り、避けられる。


「まだまだぁぁぁぁぁっ!」

攻撃を空かしてしまったグローザだが、鎚の噴射の勢いは止まること無く縦に回転しながら更に勢いを増してリベラリムに迫り、そしてリベラリムは避けきることが出来ず頭部を鎚で打ち抜かれ、あまりの衝撃に勢いよく地面に向けて飛ばされた。


リベラリムはそのまま地面に衝突するかと思われたが、寸前に羽を広げて勢いを殺した。そしてあれほどの攻撃が直撃したにも関わらず、見た目にはダメージらしいものは見えず、表情にもあまり変化はなかった。そしてリベラリムは右手に青い炎を出し、未だに上空にいるグローザ達へ放とうとしていた。


「ムッ?」

リベラリムは自身の体に変化を感じた。それは放とうとしていた右手が引っ張られるように動かなかったからだ。それだけではなく体全体が地面に引き寄せられるような奇妙な感覚が襲う。リベラリムはその原因を作った者へ視線を向けると、そこには両手を向け、冷や汗を流し苦悶の表情をしているヴィルがいた。

リベラリムにとってこの拘束のような物を払うのは造作もない。しかしほんの少しの遅れを作ったヴィルの狙いは、既に完成していた。


「やれぇぇぇぇ!」

ヴィルの声が響き、それと同時にリベラリムを中心とした三方向から強い魔力が発生する。


「"紅灼(こうしゃく)炎華砲ォォ"!」

その内の一つ勇夜は右手を前に、左手を右腕に添えて支え、ヴィルの風の魔力を吸収した自身の炎を、風の魔力で通常より圧縮して威力を高めた真紅に染まる魔力弾をリベラリムに向けて凄まじい勢いで放つ。


「"闇焉白光(えんえんびゃっこう)"」

別方向のアリサは左手に光と闇を複合させた魔力を作り前に出して、まるで弓矢を引き絞るように右手を引いた。白い光の矢に纏わりつくように黒い闇がうねり、そして放つ。


「"流水双閃(りゅうすいそうせん)"!」

最後にセリエは勢いのある水を剣に纏わせ、それを更に圧縮して剣の長さを二倍程にした。そして回転して勢いを作り右下から左上へ振り、そのまま自身の体を回し、今度は右上から左下へ振り下ろす。するとセリエの剣閃は目の前に水の斬撃が交差し、リベラリムに飛ばした。


ほぼ同時に放たれた三方向の攻撃がリベラリムに向けて放たれる。部隊の中では最も威力の高い中距離の攻撃を持つ3人の魔力攻撃。リベラリムは避けることしなかったのか、出来なかったのかは分からないが、3人の攻撃はリベラリムに直撃し、小さくない爆発を起こした。リベラリムのいた場所からは黒煙が上がり、再度視認が出来なくなる。

倒したわけではないだろう、静寂が支配するなかで黒煙の隙間から何か青い光が中心より発生した。



「オ"オ"オ"オ"ォォォォォ」

光が強くなるのと同時にまるで獣のような雄叫びがこの場に響く。地面が、空気が振動するように震え、あまりの音響に勇夜達は耳を塞いでしまう。

そして黒煙の中心から青い炎が漏れ、凄まじい衝撃が青い炎を飛散させながら土煙を上げて勇夜達を襲った。強烈な衝撃を受けた勇夜達は立つこともままならずに尻餅や膝を付き、状況の確認することが出来ず、常に風読を発動させているヴィルでさえも風読が使えずにいた。

未だに砂塵が視界を防ぎ、目開けることもも立つことも出来ずにいると、リベラリム?から発生した雄叫びが止む。そして次に勇夜達の耳に聞こえてきた声は………








「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

絹を裂くような悲痛な叫び声であった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ