8月31日 (水) 朝
云々。
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8月31日 水曜日 朝 08:24 豪雨
ボロボロになった父親と母親。父親の腕には、うなだれた彼女の姿があった。いもしない街をかけ廻った僕とウシオくんは、彼女の家の入り口前で、帰りを待っていた。父親は、昨日と打って変わって平静な面持ちで、僕たちを一瞥するとすぐ彼女を家に連れて入った。ウシオは状況をうまく受け入れられず、彼女の心配をしていたが、僕にはわかった。何もいうことができなかった。車から蒼白の母親が、僕を見るなり信号機のように顔色を変えて「帰ってよ!!」飛びかかり投げ飛ばされた。
「あなたが…あなたが連れて出したのでしょう! どこのドラマに影響されたのか知らないけれど、そんな犯罪まがいのことしてよくもまぁ平然と現れられたわね! あなたはあの子を殺したの! イオリを、私の大切な子を……! あなたが……あなたが奪ったのよっ!! この子がどこにいたかわかる? あなたの名字が彫られた墓の前ですって! なんで、なんであの子が、あんたなんかの母親の前で、前で……」
罵詈雑言浴びせかけられる中、動きはゆっくり、重々しく、はっきりと、地の中に埋めるような深い声で答えた。
「——……。すいませんでした」
手をあげる母、何度も。何度も叩かれる。痛みは、全く感じない。
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