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【芝の珍獣】ソボロ取り逃げ【ソボロでサイド】

<R30>30歳未満の方は移動してください。

この作品には〔ネ実補正〕〔ねみみん以外の方の閲覧にふさわしくない表現〕が含まれています。

いつものように繋げたネット掲示板でこのスレを見たとき、よしひろの心臓が一瞬止まったような気がした。

これは晒しスレとしては異色の、個人を叩くための晒しスレ、その発展版の個人をネタにしたスレである。

ネトゲでの晒しスレは不特定多数のプレイヤーの名前が並ぶことはあっても、スレタイトルになるプレイヤーは滅多にない。あったとしても特大の馬鹿だ。

個人を限定した晒しネタスレはあまり存在しないものであった、だがスレタイトルで上がっている『ソボロ取り逃げ』、これはよしひろが起こした事件のひとつである。


====

※説明しよう!

ソボロ取り逃げ事件とは、よしひろが起こした事件のひとつである。ソボロ助広という武器取りツアーを主催したにも関わらず2戦で抜け(通常は参加者全員分の取得を目指すものなのによしひろは途中離脱した)PVPコンテンツへ試し切りに行ったことがバレ、晒された事件である。

====


「…………ザ子供が……っ、俺様のことをネタにしようってのかっ……!」


よしひろは怒りに震えた。

同時に、ゲームを続けることの不安も覚える。

通常、晒しスレに名前が挙げられると野良での誘いが極端に減り、ようやく野良パーティに入れてもそのパーティメンバーの中に、ウォチ勢という逐一晒しプレイヤーの挙動を掲示板にチクることを生きがいにしたゲス野郎が紛れていることが疑われる。


====

※説明しよう!

ウォチ勢・ヲチ勢・落ち勢とは、晒し企業・団体・個人のことをニヤニヤしながら観察をする者の事をいう。主な生息地は晒しスレ。

====


それだけの影響力がある晒しスレ。

それが専用スレとなればどうなるか。

個人チャットでの煽り、宅配ポストにゴミアイテム爆撃、更なるネタを求めてよしひろの行動をストーキングする粘着行為。

それらすべてが自分に矛先を向ける。

当然、不安にもなる。


「……武器ひとつ取るだけでもネタにしようってのか……、ひどいじゃないかおい!」


よしひろはネット掲示板のブラウザを閉じた。

身体は怒りに震えていたが、内心、怖かったのだ。

自分に向けられた多数の罵詈雑言。

それを読むのが怖かった。

ネット上で知らない人達が知らないところで自分のことを話題に盛り上がっている。そう思えば、夜も眠れないほどよしひろの思考は恐怖で満ちた。

そんな自分を認識したくなかった。そのために怒りに任せて勇気を奮い起こしていた。


「……だいたい、苦労して手に入れた武器になんで非難がくるんだっていう」


よしひろの思考では、「自分」が「苦労して野良パーティをまとめ」あげ、そして「ソボロ助広」を手に入れた。

武器取得までの過程がとくに大変だった。これは自分の正当な報酬であり誰からも非難されるいわれはない。

よしひろの精神は言い訳の塊である。たとえ詐欺まがいな行為に及ぼうとも、自分を正当化できる自信が彼にはあった。

だからといってその後の「急用ができた」と言い、逃げるような離脱はとても許されたものではないが。

彼の思考では主催者だからといってPTの全員に行きわたる最後まで面倒を見る必要はないのである。

とにかく今の彼はむしゃくしゃしていた。


「……今日は暴れたい気分だから森林のやついくか、……その時間までは裁縫スキル上げで……」


そんなときは決まってネトゲに逃避する。ゲームの中では自分の分身が縦横無尽に暴れまわる。爽快だ。

ゲームでの行為を非難されゲームに逃避する。もはや破綻した思考だが、彼はそのことに気付かなかった。

そもそも彼の思考はオススメオンラインを中心に回っている。

オススメの中の世界に住みたい。

よしひろは常々そんなことを考えていた。

……しかし、その日は何かが違っていた。


「……んん? なんだこれ、メンテでもあったか?」


ネトゲのログイン画面からロビー画面に切り替わるはずが、不思議なシステムメッセージが書かれた画面が現れた。

画面に表示されていたのは彼が見たことがないものであった。



『このユーザーのIDに登録されているキャラクター名【よしひろ】はゲーム進行上問題があります。

早急な対策をしなければ不具合が生じる恐れがあります。

粘着保護プログラムを実行しますか?』

  >OK  キャンセル 



「ねんちゃく……ほご……ぷろぐらむ………?」


ぽかんと口を開けるよしひろ。

脳が処理しきれていないのか、理解が追いつかない。

粘着保護プログラム。

なんだ、これは。

粘着? ねばねば? いや、ストーカーのことか? 保護? 守るってことか? だとしたら───

まさか、まさか────これは!


「神VUきたあああああああああああああああ! はああああああああああああああああああああああ! 黙想!!!」


これはまさに自分のために用意されたプログラムではないか。

例えるなら開発が最後の慈悲で降ろした『蜘蛛の糸』。それにしがみつく俺。絶対に離さない。死んでも離さない。

粘着保護という言葉、そしてそれが自分の画面に表示されたという事実。

疑いようもなく、掲示板で晒されている俺のために気を使ってくれた運営からの慈悲!


「俺様の大・勝・利っ!! ネットのごムイ共よ、天に帰る時が来たようだな!!」


もはや彼の頭はお花畑状態。先ほどまでの不安、怒り、ストレスをはねのけるほどの興奮。

脳汁がどぱどぱ出ている状態である。


「もちろん【OK】だっていう、押せwwwwwOsewwwwwwwwwwwwwピピピ」


ガチガチと決定ボタンを連打するよしひろ。

本来なら、ボタンを連打をするとキャンセルされたりしてしまう簡易罠があったりするのだが、今の彼にはお構いなしであった。

粘着保護ってことは誰にもわからないような容姿に変更できるのかな、それともサーバー移動とかか? IDと名前の変更とかだけでも十分だし、キャラ再登録の可能性もあるな。あまり期待しすぎるとしっぺ返し食らうかな。いや、けど、運営だったら……。

わくわくと画面に釘付けになったよしひろは、メッセージの確認画面が消えたあとのローディング画面で、ゆっくりと動く読み込みバーが右端に到達したのを確認し────



───それが、彼が気を失う前に見た最後の景色だった。



その日、地球からよしひろは消えた。








===Welcome to Vaan’deil===






謙虚なナイトの小説はあって緑の珍獣の小説はないとかひどいじゃないかおい!



ゴールデンよしひろウィーク

5月3日ごムイの日

5月4日みどりの珍獣の日

5月5日ザ子供の日

5月6日ごムイの日(2回目)


10月17日ヨシの日

10月19日ソボロpt結成の日

10月20日ソボロ取り逃げの日

10月21日ヨシヒロソボロスレの日


みなさん知っていますか?

2016年10月21日にソボロスレは10周年を迎えます。

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