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クイナとミカ

サブタイトルいいの思いつきませんでしたorz

ほんの少し深いものだと思います

クイナ達は着々とダンジョンを進んでいき、数時間進み続けるとリコが皆を見て言う


「んじゃあ今回はここで休むか!」


数時間が過ぎた


ーー焚火の炎が暗闇を照らす、ダンジョンの中は外が夜になると光を失い、一斉に全てが黒に染まるらしい

クイナとミカ以外は全員眠っていた、疲れ切った体は睡眠という癒しを求め、リコやユリス、アルフレッドは眠るのにそう時間がかからなかった。

クイナは眠れず、ミカもなぜか眠っていなかった。

するとミカは急に口を開き、喋りだした


「そういえば、リコって、なんか自画自賛する事が多いけど、根は本当にいい人なんだ」


ミカの顔は炎の光に軽く照らされていた、その顔は微笑んでおり、ゆったりと落ち着いている。


「大丈夫、わかってるさ」


クイナも軽く微笑んだ


「実はね、リコって小さい頃から戦技が使えたんだ…でもそのせいか、他の皆からは少し嫌われててね……戦技を持つ者は強者であり、正義を全うする義務がある………

だからこそ、リコが友達と喧嘩をしても、最後はリコが悪者になるの…リコは正しいのに、戦技が使えることだけで、たったそれだけで、みんなから遠く見られるの……」


……この世界で戦技とはとても珍しいらしい、今回の攻略を指揮するというBurningSwordのギルド長でも、扱える戦技は5つしかないと聞く。

つまり、戦技を持つものとはこの世界では"特別な存在"に当たるのだ

(まあ俺は現時点で4つの戦技を使えるんだが)


「……」


クイナは静かにその話を聞いていた


「私もね、昔っからドジっ子で、よくのけ者にされてたの…実はアルフレッドも……

そんな私達に、リコは手を差し伸べてくれたんだ。

メソメソしてないで一緒に遊ぼうぜって、笑いながら言ってくれた

…私達が虐められてても、リコは逃げずに私達を助けてくれた。」


ミカはそっと微笑みながら言う


「実は、私たちの村はあまり裕福じゃなかったんだ、リコは、村を助けるために冒険者になったの…

リコが冒険者になるって言った時、リコはすっごく親に怒られててさ、それでもリコは、みんなのためだって、自分の正義を曲げなくって、私はそんなリコを見て、私達もリコを支えたいって、心から思ったの

…冒険者になってから、結構大変だったんだ、でもそれでも、皆徐々に慣れていって、皆段々上手くなって、何もかもが楽しくて、本当に皆に出会えてよかったって、心の底から思える………

…実は私、怖いんだ…みんなと一緒の時は楽しいけど、それでも怖いの、いつ仲間の誰かが死んじゃうかもわからない、もしかしたら明日かもしれない、出来れば戦いたくない、みんなに死んでほしくない

………神様は面白いね、もし、私たちの命が危なくなっても、神様は助けてくれるのかな……」


彼女は怯えている、仲間の前では平静を装っても、本心はいつ終わるかもわからない冒険に怯えている

恐らく言いたいことは山ほどあるのだろう

人間は自身の生命の危機を身近に感じると自身の情報を必死に遺そうとする。次の世代へと、自身の培った情報、人生、感情を伝えようとするのだ

彼女は今まさにその状態にある


「きっと助けてくれるさ」


クイナは軽く表情を明るくし、元気づけるように言う

ミカは感情を切り替えるようにそっと明るくなった


「そういえば、神様っているのかな?今も私達を見てくれてるのかな」


「きっと見てくれてるさ、きっと、グダーっと寝転がりながら皆を、皆の成長を見てくれてるよ」


「クイナは優しいんだね」


ユリスは笑みを浮かべながら言った、それはとても優しい笑顔だった。


「まあ、早く他の冒険者と合流して、ダンジョンを攻略して、また皆でいっぱいお喋りしようよ。今回のダンジョンが終わったら、これまで貯めたお金を使って皆のギルドを作る予定なんだー、良ければ一緒に来ない?」


「うん、行くよ」


「本当?、やった!、楽しみだなぁー!」


ミカがそう言って笑い、クイナもその笑顔につられ軽く微笑んだ。


「神様、どうか私達が、今回も安全に、みんな笑顔で帰れますように…」


ミカは目を閉じ、両手を合わせて、小さい声で願い事をした


「さあ、寝よう、明日も頑張らないとね」


「そうだね!じゃあ、おやすみなさいクイナさん!」


「おやすみなさい」


そう言って、ミカは眠りについた。


クイナは軽くアクビをし、大きな暗闇の中でポツンと燃え盛る炎を、眠気により今にも閉じそうな目で見つめた


…人には物語がある。人の数だけ物語がある、"人生"と言う名の物語が。

中には報われないような悲しい物語もあるし、幸せな物語もある……

実を言うとその物語は知らない方が良い

なぜなら知ってしまうと、その物語を残したいと思ってしまうからだ

俺は無数に存在する物語のたった一部でしかない、でも誰かの物語を、一つでも、たった一つだけでも幸せに出来るのは、それは本望かもしれない

俺はこの子の物語を、ハッピーエンドで終わらせてあげたいな


ーーいつか誰もが幸せで、誰もがハッピーエンドを迎える、そんな世界がいつか、来るといいな……


そんな事を思い浮かべている自分に対してクイナは小さく一言


「はあ、そんな事、考えるような歳じゃないんだけどなー」


いや、この世界では500歳を超えてたな

そう思いながらも軽く微笑む


「ハッピーエンド、ねえ…」

「内容的に短くなぁい?」


クマ「…………」

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