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それからしばらくしたら膝くらいの高さにぽかんと開いた丸い穴があるのを見つけた。
「もしかしてあれかな?」
美和子はようやくこの無機質な空間の終わりが来たと嬉しくなって、その穴の方へ走っていった。
あと10メートルくらいでその穴だというところまで来たらそよそよと追い風が吹いてきて美和子の走るスピードがだんだんと速くなっていった。
さらに近付くと穴に吸い込まれるほどの風に包まれた。
あまりの強い風に美和子は足が浮きそうになる。穴に向かって走っていたのだけれどもこうも引きづられる形になると踏ん張りたくなるもので、かろうじて地に着いた足で必死に抵抗した。
「きゃー!」
吸い込まれる力に敵わずに美和子は悲鳴をあげて身体はふわりと浮かび美和子の身体をその穴は飲み込んだ。




