第2話「チュートリアル」
本棚へ向かっている最中、俺は、知り合いの5人が集まっているのを見つけた為彼らのところへ向かった。
「達矢、美奈、何で集まってんの?」
「俊か、アルファさんにパーティーについて質問したところ組むメンバーで集まった方がいいと言われたからね。みんなで集まって待機してる」
「俊君も質問が終わるまでここで座っていようよ」
「ゴメンな。アルファに本に関して質問してみたら情報として永久的に残せるらしいんだ。だからお前らも本棚まで付き合ってくんね?」
「しょうがないな~。俊君の頼みだから私はいいよ」
「俺も問題ないぜ」
「他の3人は?」
そう言って三人の方を振り向いて聴くと
「俺っちの方も問題ないよ」
と、容姿が上の上レベルの細マッチョで身長179cm前後の男子|(谷村 竜斗)が言った。それに続いて
「あたしも問題ないわよ」
「わたしも問題ない…です」
と、身長168cm程でウルフヘアーで体育系美人の女子|(雪風 可憐)と身長164cm程で少し胸の膨らみがあるおしとやかな雰囲気の女子|(森見 静葉)は言った。
「それじゃあ行くか」
と、俺が言うと各々で立ち上がり、6人まとまって本棚へ向かった。
本棚は10段あり、本の背表紙には題名とA―1等のナンバリングがされていた。ナンバリングには法則性があり、数字は段、文字は横を表しているようだった。しかし縦に見たときに同じ文字が並んでいるのはほとんどなかった。
それだけならまだ普通だったのだが、本の背表紙の色は隣り合わせの本に近い別の色で左端から真ん中まで赤から紫に虹の順でグラデーションされており、真ん中から右端までは紫からあかに虹の順でグラデーションされていた。
本が数冊抜けていることを含めてもきれいで美しい物だった。
俺達は、散らばっている本の中からナンバリングされている本を見つけ出し、全ての数字の段でアルファベットと五十音順のナンバリングに合わせて仕舞った。
そして、再度本棚をみたところ《箱庭》の二文字を中心に波打ったように色が変化しているような錯覚を受けた。
「すげぇ」
誰かが言った。もしかしたら俺かもしれないが。
それに応じて6人で話していると
「質問が終わったので後10分後にチュートリアルを始める!」
と、アルファが言ったのが聞こえた。
その発言で俺達は正気を取り戻し近くにあった紙とペン使って《自分の名前》、《箱庭》の2文字、科学の本や魔法の本などの役立ちそうな本の題名を箇条書きで書いた。
書き始めてから約10分後
アルファの声が聞こえたと同時に強い光で目が眩んだ。
まぶたを開くと訓練所のような景色の場所に転移させられていた。
「これからチュートリアルを始める!時間がもったいないから最初の説明だけするぞ。まずは《アイテムボックス》と念じろ。そこにプレゼントがある。そこから本を取り出してチュートリアルを開始しろ。スライドで画面の移動、タップで表示だ。最後に《閉じろ》やそれに関連するワードを念じると閉じる。後は各自でやってくれ。10時半に箱庭へ転移させる。」
そう言って彼女は目の前から消えてしまった。多分別の場所に転移したのだろう。
俺は言われた通り《アイテムボックス》と念じた。
すると、目の前に青白く半透明なディスプレイの様なものが現れ《アイテムボックス》と表示された場所の下に《情報の書》《魔力吸収式腕時計》の二つのアイテムがあった。
(とりあえず、チュートリアルを進めるか。)
そう思い、俺は《情報の書》をタップした。タップするとさらに《取り出す》と《変更》《捨てる》の項目が出てきた。
捨てる気は全くないので《取り出す》を選択すると目の前に国語辞典程度の厚さの革表紙の本が出てきた。
次に《変更》をタップすると《端末》という項目が出てきた。
興味本意でタップすると本がスマホに変化した。スマホにはロックがかかっておらず、すぐに画像が表示された。
スマホのアプリには《チュートリアル》、《書籍》、《目的》、《ステータス》、《アイテム》、《情報》、《設定》と表示されていた。
本に戻してページを開くと最初に目次がありアプリと同じ内容が書いてあった。
《チュートリアル》のページを開くと
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チュートリアル
①《ヘルプ》と念じて《ヘルプ》を開け
②《ステータス》と念じて《ステータス》を開け
③ショートカットでアイテムを取り出せ。やり方は《ヘルプ》または《情報の書》で調べよ
④訓練をする、ステータスでスキルを振る等をして時間を潰せ。また、分からないことは《ヘルプ》または《情報の書》で調べよ
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と書かれていた。
俺は指示にしたがって《ヘルプ》を開いた。《ヘルプ》には《目的》、《情報》、《書籍》の項目があった。
続いて《ステータス》を開くと
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ステータス
名前:シュン・カンナギ LV1
種族:現人神(元土地神)
性別:男
年齢:17歳
ジョブ:なし LV---
スキル:神の力(治癒、環境操作)、武術LV3、料理LV1
加護:新神の加護(能力上昇)
SP1
JSP0
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と書かれていた。
なにこれ。なんで俺の隠したいこと表示されてるの。説明面倒だな。
そんなことを考えながら俺は《情報の書》で〈ショートカット〉について調べた。
ショートカットのやり方は簡単で取り出したい物やそのアイテム名を思い浮かべ目に見えない鞄等の空間から取り出すイメージで行動すればショートカットでアイテムを取り出せるらしい。
(ちゃんと出来るのか心配だけどとりあえずやってみるか)
本当に出来るのか疑問等を感じながら俺はショートカットで魔力吸収式腕時計をズボンの右ポケットから取り出してみた。
するとベルトを含めて全て金属で出来たアナログ腕時計がなにも入っていないポケットから出てきた。
見たところ現在時刻は8時15分のようだ。
訓練などのことを考えて若干時間に焦りを感じながら俺は周りを見渡した。
転移させられた後も本棚の近くに居たときとあまり変わらない距離にいる知り合いはショートカットで苦戦しているようだった。
俺は彼らを待っている間少し様々な事について調べることにした。
始めに《スキル》について調べた。結果は
①スキルとは各自が持っている技能を言う
②スキルの獲得は努力とSP、JSPを使っての獲得がある。
③SPは本人のレベルが上がると手に入り、JSPはジョブのレベルが上がると手に入る。
④SP、JSPを使う場合は、情報の書で獲得するかステータスを開いて画面をスライドし、スキル獲得画面にして獲得する。
⑤一部のスキルにはレベルがあり、料理の場合
0は使ったことがある
1は初級者程度
2は中級者程度
3は上級者程度
4はプロ
5は星持ち
との事だった。
また周りを見渡すと美奈と達矢、可憐がショートカットを終えているようで、美奈は俺と同じように調べもの、達矢と可憐は竜斗と静葉にショートカットを教えていた。
まだ時間がかかるようなので俺は《パーティー》について調べる事にした。結果は
①パーティーは普通冒険者ギルドで登録する。今限定で情報の書の最終ページで仮登録ができる。本登録は冒険者ギルドでしなくてはならない。
②パーティーを組むとステータスでメンバーのステータスが表示されるようになる。
③パーティーメンバーは最初の転移で同じ場所に転移する。
④経験値は戦闘の貢献度、参加量で変化する。
と、書いてあった。
(短いな。メリットも少ないし知り合いと活動するためのものかな?)
なんて事を考えていると、知り合いが俺を囲んでいた。