第1話「ルール」
「痛った。どこだ、ここ。何で人が倒れてんだ?」
俺は、身体中に痛みを感じながら立ち上がり辺りを見渡してみた。
すると、そこにあったのは一緒にカラオケに行く予定だった知り合いや同じ車両に乗っていた人、車掌さんや知らない人達が倒れていた。
また、距離にして2~3m程の場所に、ベッドやテーブル、椅子、冷蔵庫等の生活空間に数冊本が抜けている本棚、その近くには大量の書籍が散らばっていた。
そこには、純白のドレスを着て椅子に座りカップを傾ける美人で少しウェーブがかかった金髪、長髪の女性がいた。
俺は少しでも情報を得るため彼女に近付き話を聞くことにした。
「すみません。ここはどこですか?あと、何があったのでしょうか?」
「貴方達は電車に乗ってるときにトンネルの落盤事故にあってその後死ぬ予定だったから連れてきたの。あとここは神々の空間とでも呼びましょうか」
「なるほど・・・。あっ、申し訳ありません。私は神薙 俊と申します。あなたの名前は?」
「私の名はアルファよ。あと、敬語でなくていいわ。堅苦しいのは嫌いなの」
ここまで話したところで後ろから「ぅん……」と人が起きる声がした。
その声に連なるように倒れていた人の一部が起き上がり、突然の出来事にある者は叫び、ある者は慌て、ある者はパニックになり、ある者は状況を把握しようと考え、動きを止めていた。
それにより他の人も起き、ほとんどの人が混乱し逆に一部の人が冷静になった集団が出来ていた。
するとアルファと名乗った女性は
「静かに!これからゲームを始める!」
と、言い放った。
その一言は、先程までのゆったりとした雰囲気はなく、勇ましく、猛々しいものだった。
この発言と共に空間全体が静まり返った。そして彼女は続けて自分の名やこの空間に、つれてきた理由、世界のルール・マナー等を説明した。
要約すると
①この空間に、つれてきた理由は神々が地球の人間に新たな娯楽を与える為の準備・実験。内容はVRゲームのようなもの。
②つれてきた人たちは日本で死んだ人。人数は100人程度。
③この実験はリアル人生ゲームのようなものである。
④ゲームに参加するか輪廻転生の2択。
⑤金銭は銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白金貨、黒曜貨がある。
価値は銅貨10枚=大銅貨1枚、大銅貨10枚=銀貨1枚、銀貨10枚=大銀貨1枚、大銀貨10枚=金貨1枚、金貨10枚=大金貨1枚、大金貨10枚=白金貨1枚、白金貨10枚=黒曜貨1枚となっている。
単位は、Gで、銅貨1枚=1Gとなっており、大銅貨1枚=10G、銀貨1枚=100G、大銀貨1枚=1000G、金貨1枚=1万G、大金貨1枚=10万G、白金貨1枚=100万G、黒曜貨1枚=1000万Gとなる。ちなみに、1G=100円である。
⑥身分証が通帳がわりになっていて、身分証によるカード払いが出来るところもある。
という内容だった。
最後に彼女の名前はアルファと言うらしい。そして質問は少し離れて他の人に聴かれないところで行うようだった。
並んでいる人数が少なく、質問がある人から順に並び個人面談のように交代交代で話す形式だ。しばらくしてから俺の番が来た。
「さて、あなたの質問は何かしら?」
「まず始めに、今まで来た質問と回答を教えてくれ」
「はぁ、中々エグい質問するわね。まあ、ルールだから答えてあげるわ。ちなみに、ここで得た情報はヘルプを念じることで確認することが出来るわ。
多い順に答えると、奴隷は存在するのか?、お金の稼ぎ方、世界の常識、加護やステータスを確認できるか、確認できるのなら他に何が確認できるか、の5個ね。
答えは、奴隷は存在する。お金は冒険者とか、いろんなことをすれば稼げるわ。常識に関しては面倒だから現地で知ればいいと思うわ。念じることで確認することが出来るのは、ステータス、ヘルプ、持ち物の3個ね。
次の質問は?」
「どんな世界につれていかれるのかとそこにある大量の書籍を読んでいいのかだな」
「世界の街並みは中世のヨーロッパをイメージしてくれればいいわ。そして、科学はほとんど進歩しておらず代わりに魔法がある世界ね。
ちなみに、書籍に関してもヘルプで確認できるようにするから書籍の近くにある紙に名前と書籍の題名を記入して。記入したら読んでいいわ」
「了解した。質問は以上だ」
「わかったわ。あと、パーティーは、今組まないと別々の場所に転移するから気をつけてね。あとで配る本型のアーティファクトで登録出来るから集まっていた方がいいわ」
このような回答を受けて俺は、本棚へ向かって歩き出した。
2016/1/5
別作品との関係でルールを一部変更
上記現在その作品はプロット作成中