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高貴なドロドロ?  作者: 花ゆき
本編
4/13

密やかにドロドロ?

本日二回目の投稿です。

「そういえば、伊集院さんはどうして昼ドラにこだわってるの?」


 春日さんに質問されて、わたくしは話していないことに気づきました。ヒロインとして付き合ってくれている春日さんには、お話すべきね。


「そういえば、お話したことがありませんでしたわね。わたくし、お母様からテレビは見るなと言われていて、それに従っていましたの。ですが、どうしても好奇心が抑えられなくて……。お母様のいらっしゃらない間にこっそり見ましたの。そこには、ちょうど昼のドラマがかかっていまして、姑が嫁いびりをするシーンでしたわ。深い憎しみにより妨げられる夫婦仲! それを乗り越えた夫婦の固い絆! とっても素敵じゃありませんこと!? それ以来、わたくしは昼ドラの虜ですの」

「じゃあさ、伊集院さんは恋をしたいとは思わないの?」


 あら? 春日さん、何だかキラキラした目をしてますわね。よく分かりませんが、私は拳を握って言いましたの。


「いいえ。むしろ、姑になりたいですわ!」

「そ、そう」


 春日さんはなぜか、がっくりしてしまいました。どうしたのかしら? けれど春日さんなら大丈夫。なんたって、わたくしが見つけたヒロインですもの。


「大丈夫ですわ。春日さんなら、立派なヒロインになれます!」

「アリガトウ」



 家に帰ってから、恋という言葉が気になりましたの。昼ドラは恋、愛という感情を元に構成されていますわ。ですから、その恋を知ることが昼ドラを深く知るチャンスになるんじゃないかと思いました。そうと決まれば即行動ですわ。明日、春日さんに話してみましょう。





「わたくし、気づきましたわ。そう、恋をすることでもっと昼ドラらしくなるんじゃないかって!」

「うん、なるほどね」


 なんだか、小さな声で『やっと恋に興味が出てきたか……』と聞こえましたけれど、どういう意味かしらね。変な春日さん。


「それで具体的にどうするの? 婚約者を相手にするの?」


 さすが、わたくしの友。賛成してくださるなんて、素敵ですわ。


「婚約者はわたくしの友人と恋人関係にありますから、彼以外ですわね」

「ふーん。……って、早く言ってよ! 嫉妬したり、悩んだのが馬鹿みたいじゃないか!」

「あら? 春日さん、好きでしたの?」

「う、うん。その実はいじゅ」

「わたくしの婚約者のことが好きだったなんて! 気がつきませんでしたわ!」

「あぁそうだね。君はそういう人だった。僕が悪かったよ」


 あら? 春日さんが頭を抱え始めたのだけど、どうしたのかしら。


「どうしました?」

「婚約者のこと、好きでも何でもないから」

「では、どなたのことをお好きなの?」


 春日さんはわたくしをじっと見て、目を左右に泳がせたのち、ため息をこぼしましたわ。まぁ、それほどまでに思い悩んでいますの? わたくし、気になりますわ。


「これまで悩まされた罰として、伊集院さんが考えるといいよ」

「分かりませんわ」

「ヒントは、いつも一生懸命で純粋で可愛い馬鹿な人だよ」


 そう言って、その人のことを思ったのだと思いますわ。目に優しい色が浮かんで、愛しそうに笑ったのを初めて見ましたもの。


「それ、褒めてますの? 馬鹿だなんて」

「褒めてるよ。そこも可愛いからね」


 ポンポンと頭をなでられて、なんだか落ち着きません。きっと、春日さんの好きな人はこの愛情を注がれて幸せなんでしょうね。わたくしは羨ましいと思って、同時に心に変な色が混ざったのを感じましたの。変ですわね……。


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