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高貴なドロドロ?  作者: 花ゆき
本編
2/13

華麗なるドロドロ? (バレンタインデー編)

 クラスの雰囲気がそわそわと落ち着かないものになりましたわね。今日は何かあったかしら? 抜き打ちテストがあるのかと考えたけれど、今日はテストがよくある古文の授業はないし、変ね。


「そういえば、伊集院さんは今年誰にあげるの?」

「何をですの?」

「チョコレートだよ。ほら、バレンタインデー」


 それだわ! それなら、理由も分かるわね。なら、チョコレートで昼ドラ展開ができそう。視線を感じると、春日さんが何やら祈るように見ていた。どうしたのかしらね。あぁ、そうだわ。春日さんの質問に答えなきゃいけないわね。


「そうね、お父様と婚約者よ」

「あのさ! 今友チョコが流行ってるんだって!」

「あら、そうですの。それでは、春日さんに友チョコを用意しますわね」

「ウン、アリガトウ」


 春日さんったら、なんだか微妙な顔してどうしたのかしら。家に帰ったら、チョコレートを買いに行かなきゃいけないわね。


『あいつ……、肉を絶ち骨で受ける作戦か……!』

『男中の男だぜ……! 俺には真似できない』




 バレンタインデー当日。きたわ、ついにこの日が! 絶好の昼ドラ日和じゃない! さっそく、廊下でふらりと歩いている婚約者を見つける。行くわよ! 婚約者に春日さんをおしつけて、蔑んだ目で見る。


「この、泥棒猫!」

「伊集院さん、誤解です!」

「口でならなんとでも言えるわ!」


 あぁ、これよ、この展開! やってみたかったのよね! すがるように触れてくる春日さんの手を払うと、春日さんは苦しそうな顔をする。名女優だわ、わたくし達! 西聖学園昼ドラ枠はこの二人がもらったも同然よ!


「あのー、俺置いてきぼりなんだけど」

「忘れてましたわ。それと、いつもの。毎年お世話になってます」

「あー、うん。こちらも毎年ありがとうございます」


 婚約者にもちゃんとチョコレートを渡したし、本命の昼ドラ展開もできたし、今日はばっちりね。今日は食堂で何を食べようかしら。



  ****



「春日、苦労するな」

「別に、そこが可愛いですから。あと婚約破棄してください」

「高校卒業までって約束なんだわー。すまんな」


 チッという舌打ちが聞こえた。春日さんの、先ほどまでのヒロインぶりはどこか遠くへ消え去っている。


「お前、伊集院いないと性格変わるよな」

「伊集院さんがいないのに、何をつくろえと? あっ、伊集院さんとのランチの時間が減っちゃう。それじゃ」


 ため息をつく婚約者がいた。



 ****



 食堂にて、可愛らしく赤で包装された箱を渡される図があった。しかし、それはバレンタインデ―特有の、頬を染めて渡すようなものではなかった。


「春日さん、こちらどうぞ」


 まるでお歳暮を渡されるかのようなそれに、春日くんは一瞬固まったものの、瞬時に平静を装って受け取る。


「アリガトウ、伊集院さん。こちらは私のだよ」

「まぁ、これ手作り!? すごいわ。わたくしは市販のものなのに」

「そんなことないよ。ちょうど作りたかったんだ」


 内心テーブルに突っ伏してしまいたいだろうに、恋した彼女の前だからと笑顔でい続ける春日くんの姿があった。その背中に、周囲の者達の反応は様々だった。


『あいつ、男だぜ……』

『報われない……』

『というか、あれケーキじゃねぇか。本命じゃん』


 その日、その場にいた有志により、春日くんを応援する会が発足された。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。この話は本当は一話で終わりでした。ですが、書きたいという欲が出てきて、拍手にて感想もいただいて、ますます書きたくなったので書きました。


続きはもう少し練り込んでから、書きたいと思います。完結と思って読まれた方に申し訳ないので、表示を連載中に変えました。完結表示にしていた理由は、練り込んで書きたいためと、すぐに更新できず「◯ヶ月更新してません」表示が出ることが不安だったためです。戸惑われた方々、すいませんでした。

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