表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
高貴なドロドロ?  作者: 花ゆき
番外編
11/13

調理するドロドロ?

本日2回目の更新です。


Twitterで「自分の好きなキャラクターにカレー作らせると楽しい」という呟きを見て、考えてしまいました。伊集院さんと春日くんにカレーを作ってもらいます。

 調理実習でカレーを作ることになりました。これって、昼ドラをするチャンスですわね!? そう、例えば――


『あら、雅さん。こんなこともできませんの? 我が伊集院家にはふさわしくありませんわ』

『そんなっ、お義母様!』


 これですわ! 昼ドラの嫁いびりは定番でしょう。早速いきます!





「おーほっほっほ! 雅さん、こんなこともできませんの? 我が伊集院家にはふさわしくありませんわね。わたくしの包丁さばきで驚くといいわ!」


 高笑いする伊集院さんに、クラスメイトは伊集院劇場が始まったんだなと理解する。伊集院劇場に慣れきった春日くんは、自分の配役を察した。


「そんなっ、お義母様! あー……、うん。別の意味で驚いた」


 包丁でじゃがいもの皮を剥いているのですけれど、雅さんの反応がおかしいですわ。家で練習しましたのに、どうしてかしら? 何故か、彼にピーラーをそっと渡されました。


「包丁は危なっかしいから、ピーラーを使いなよ」

「うっ、雅さんの方が上手だなんて!」


 見ると彼の包丁はするするとじゃがいもの皮を剥いていました。なんて鮮やかですの!? そのショックのあまり、包丁でわたくしの指を切ってしまいました。傷は軽いようですが、切り傷って意外とピリッときますのね。少し血がにじみます。雅さんの方が上手いですし、包丁で指は切りますし、落ち込んでしまいますわ。


「よそ見しちゃだめだよ――って、遅かったか。僕のことを見てたからっていう理由は可愛いけど、怪我しちゃダメでしょ」


 彼が口に指先を含みます。暖かい口内の感触に思わず赤面してしまいました。それよりも、雅さんが言ったことで脳内がいっぱいです。


「なななな!?」

「包丁没収。ピーラーどうぞ」


くっ、これは戦略的撤退ですからね! 決して皮むきで負けたわけでは……、あら、ピーラーって便利ですのね。





 先程は失敗しましたが、次こそは! 昼ドラで、姑はねちっこくヒロインをいじめ抜きます。ですから、わたくしがここで引き下がるわけにはいきません!


「いよいよ、カレー完成ですわね。ですが、伊集院家には秘密の隠し味があって、それがなくてはカレーとは認めませんのよ」


 この後『我が家にふさわしくない味ですわね、おーほっほっほ!』で完璧ですわ! 心の中で拳を握って、勝利を確信しながら味見しましたの。すると、慣れ親しんだ味が舌を刺激して、思わず目を見開きました。


「あ、蜂蜜のこと? もう入れたから」

「なぜ、知って」

「麗華さんのお母さんから聞いたんだ。聞きに行ったら、将来安泰ねって言われたよ」


 お母様!? なんてことを! そして外堀が埋められてるような気がするのは、気のせいかしら。


「これで認めてもらえた? だから、麗華さん安心してね?」

「今は昼ドラやっていますのに、距離が、その……!」

「ほら、あーんして」


 雅さんをヒロインにするとやっかいだと分かっていたはずなのに、失敗ですわ! わたくしのお馬鹿! 雅さんは笑顔でわたくしの口元からスプーンを動かしません。これって、食べるまで下げないつもりですの!? じっと彼を見つめたものの、期待に満ちた目で待っているから居心地が悪いですわ。仕方なくスプーンから食べると、雅さんが甘ったるく微笑みます。今ならどんな辛いカレーも食べれそうですわ、と思ってしまいました。


「麗華さん、次の分」

「いや、もう十分でしょう!?」

「まだ沢山残ってるよ。口開けて」

「いや、もうかまいませんから……ふぐっ!」


 口が開いた瞬間を狙ったかのように、雅さんのスプーンが入ってきましたわ。抗議するために急いで口の中を空にします。


「雅さん、わたくし一人で食べれますから」

「あーん」

「話を聞いてくださいな! っ……口の中に勝手にいれないで下さい」




 その後、平らげられた皿と机に羞恥で突っ伏した伊集院さんが発見された。春日くんはそんな彼女をニコニコと見つめていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ