開戦
神人と名乗った後、空に映っていたエルガンテの姿は消えた。
あまりに突然かつ、理解の範疇を越えた出来事に、周囲の使用人たちが呆気に取られている中、アイラは空を睨みつけたまま一人呟く。
「自らを粛清者とは……実にふざけた連中だ。借り物の力で神にでもなったつもりか?」
「アイラさん。今の男は神人と名乗っていましたが、もしかしてさっき聞いた学園の理由とは……」
「そうだ、神人と呼ばれる存在と対抗する為だ。曾祖母様は必ず神人が現れると言い、それに対抗する為に学園を作ったのだ」
必ず現れるって……過去の俺が死にかけた時にユキナたちが倒したわけじゃないのか?
あるいは新たな神人が現れたという可能性もあるが、今の時点では何もわからない……か。
「まさか私の代で来るとはな。だが、ようやくこの時が訪れたか。ウルよ、全員集めよ!」
「はっ! すぐに!」
アイラは未だ戸惑う使用人たちに喝を入れ、部下を呼んでは指示を手早く飛ばしていく。この手際の良さは、こういう事態が来ると常に想定していたからだろう。
レイアが現れると宣言してからおそらく百年くらいは経っているので、それでも備え続けたその精神の強さは感嘆する他ない。
そんなアイラに聞きたい事があるのだが、今はとても話し掛けられる状態ではないので離れて様子を見ていると、ルルが俺の髪の毛を引っ張ってきたのである。
『ねえねえ、何か難しい言い方ばかりでよくわからなかったけど、あの空の人って何がやりたいの?』
「えーとな、要するに世界中の人々全員に喧嘩を売ってきたんだよ」
『ええっ!? 世界中の人って、無理に決まっているじゃん!』
「そうだな。普通は不可能……なんだ」
あのエルガンテの下にどれだけ人数がいるかは不明だが、少なくとも全人類を相手にするには足りていまい。
だが、レイアたちを苦戦させた神人がいる可能性に加え、あの高度な技術を手にしていると考えればー……待てよ?
記憶が戻った事で気付いたが、過去と現在で同じ点がある。
ユキナとギルドの初依頼に行った時、魔物が狂暴だったり活性化していた状況は過去と同じなのだ。
つまり過去の神人と同じ現象を起こせるという可能性が高いので、決して楽観視出来る相手ではない。
「……では行け! 人々を不安にさせぬよう、冷静な行動を心掛けよ」
部下に指示を出し終え、ようやく一息吐けるタイミングとなったところで、アイラは俺へと向き直った。
「すまぬな。このような事態故に、ゆっくり語り合っている暇はなさそうだ。君はもう部屋で休んでいるといい。怪我が治ったとはいえ病み上がりだろう?」
「大丈夫です。ところで、今ユキナは学園でしょうか?」
「いや、あの子は今、ロディリア平原で行われている集団演習に参加している。向こうもあの男の演説を聞いたのなら、演習も中止にしてすぐ戻ってくるだろう」
ロディリア平原とは、ここから山を一つ越えた先にある海に面した平原らしい。かなり広大なので大軍での訓練に適している場所だとか。
そこで集団戦闘を意識した訓練が行われており、今回はユキナだけでなく学園の生徒が大勢参加しているらしい。
「息子もいるから判断を間違うとは思えぬが、何か嫌な予感がするな」
杞憂かもしれないが、それは俺も同感だった。
こういう時の嫌な予感ってのは当たりやすいと思っていると、急に屋敷の正門が騒がしくなったのである。
「伝令! 伝令ーっ!」
屋敷中に響く声に振り向けば、正門からケティールに乗った男がこちらへ向かってきた。
敷地内とは思えぬ速度のままアイラの前まで迫った男は、ケティールから飛び降りるように着地してアイラの前で膝を突く。
「アイラ様! エイジ様からの緊急でございます!」
「話せ!」
「は! 平原の海から大型船に乗った集団が突如現れ、現在その集団とエイジ様たちが戦闘中との事!」
「船だと! あの辺りの海峡は船で簡単に近づけぬ筈だが」
「それが……その船は鋼鉄製に見えたらしく、更に帆もないのに海を凄まじい勢いで進んでいたと!」
この世界の大型船はまだ木造が主流であり、推進装置も帆で風を捉えるか、または奇跡で風を起こして前へ進むレベルである。
だが突如ロディリア平原に現れたのは鉄製の船であり、帆がないという事は別の推進装置があるという事だ。何らかの動力によるスクリューと考えるべきだろうが、どちらにしろ技術レベルが明らかに違うので、その集団は先程のエルガンテの手の者という可能性が高い。
「その集団は突然襲ってきたのだな? 船の数と敵の規模は?」
「船は三隻確認されており、魔物を含めた敵の数も二百程度だったと」
「二百……それくらいならば、演習を指導している正規兵でも何とか……」
「ですが、敵が上陸すると同時に、周囲に生息する魔物たちが我々に襲い掛かってきたのです! まるで連中に操られているかのように。その数……二千は超えているかと」
「何っ!?」
天族たちの数は五百人程だが、周辺の魔物が敵対したせいで劣勢らしい。
エイジのような強者と経験豊富な正規兵はいるが全体をカバー出来る程じゃないし、一番の問題は戦闘経験が浅い生徒たちが大勢いる事だ。
この伝令は救援要請でもあり、報告を聞いたアイラは即座に決断し、いつの間にか近くにいたウルや部下たちへと振り返る。
「七番までの指示を撤回! すぐに部隊を編制し、ロディリア平原に救援へ向かうぞ!」
「「「は!」」」
「各隊が揃い次第、随時出発せよ! 陣形は向かいながら整える! 私の槍と鎧を持て!」
言いたい事があるのに、アイラの判断と動きが早く中々口を挟む余裕がない。
指示を出したアイラは準備の為に屋敷へ戻ろうとしていたので、悪いと思いながらも俺は彼女の前に立ち塞がった。
「何用だ? 話なら後にしろ」
「俺も手伝わせてくれませんか?」
「うむ、それは助かる。ならばウルが率いる隊に入ってー……」
「俺はすぐ出られます。ですから、ケティールを一頭貸していただけませんか?」
「一人でか? たった一人で行ったところで何が出来る?」
戦闘に備えて気持ちが切り替わっているのか、言動が厳しく圧も凄い。
もちろん彼女が言っている事は正しいのだが、俺の中にあるレイアの残滓がそうしろと言っている気がしてならないのである。
勝手な事を言う俺にアイラは厳しい目を向けてくるが、やがて諦めたのかそっと目を閉じた。
「いいだろう。好きなのに乗って行け」
「ありがとうございます!」
「……よろしいのですか?」
「理解した上で行くのなら、止めるだけ無駄だ。それに、彼に家の子たちを御せるかどうか……」
二人の会話を最後まで聞かず俺は駆け出し、エルドラ家の敷地にあるケティールの牧場へと向かう。
牧場には多くのケティールが思い思いに休んでいたのだが、俺が柵へ近づくと呼んでもいないのに一頭のケティールがこちらへ近づいてきた。
この羽毛に特徴があるケティールは、確かユキナに一番懐いていた子だったか?
「……乗せてくれるのか?」
そうだと言わんばかりに小さく鳴いたので、俺は近くにあった鞍と器具を取り付けてそのケティールへと飛び乗った。
やはり俺が乗っても嫌がる素振りは見せなかったので、足で体の側面を叩きケティールを発進させる。
『おお、クエスってこの子に乗れるんだ?』
「まあな。一通りの事は仕込まれたんだよ」
レイアから強引に手綱捌きを叩き込まれた上に、馬車での移動もあったからケティールとはよく触れ合っていたからな。
それにこの子は不思議なくらい素直なので、全力で走らせても大丈夫そうだ。
地を蹴り、凄まじい速度で走るケティールはあっという間に町を飛び出し、土を踏み固めた道を疾走する。
坂道をものともせず駆けるケティールに、俺の懐に入っていたルルが楽しそうにしていた。
『おおー……速い速い! さすがの私もこんなに速く飛べないなぁ』
「お前が速く飛ぶ必要があるのか?」
『まあね。ねえ、何か記憶が戻ったみたいだけど、全部思い出せたの?』
「いや、一部だけだ。まだ思い出せていない事の方が多いと思う」
『そっか。じゃあ前は何をやっていたのか教えてよ』
「この騒ぎが落ち着いたらな」
そんな会話を交わしている内に山の頂上まで来れば、広大な平原が眼下に見えた。
本来ならば景色を楽しめる場所なんだろうが、現在平原には多くの人々と魔物が戦い合うという殺伐とした光景が広がっている。
『うわぁ……凄い数だね。こんな規模の戦い、久しぶりに見たかも』
「ユキナはどこだ?」
『見えるわけないじゃん……って、何それ?』
「望遠鏡っていう、遠くを見る道具だよ。さて……」
レンズと似た代用品で作った簡単な物なので倍率は高くはないが、少なくとも人の特徴くらいは把握出来るだろう。
それでも骨は折れるが、探しているのはレイアの子孫なのだ。不思議と目に留まる子でもあるし、勘に任せて望遠鏡を動かせば……。
「……見つけた!」
『本当? あ、それ後で使わせてね』
ユキナがいるのは、戦場の中心よりかなり後方……おそらく外見から学生を中心に集めた場所だと思われる。
経験不足の学生を守るような陣形を組んでいるようで、伝令通り劣勢なのは間違いないようだ。
『あ、でもあの辺りとか凄く攻めてない? 魔物を蹴散らしているよ』
「エイジさんか? 何か意図があって攻め込んでいるようだが、急いだ方がいいか」
向かう場所が判明し、ケティールを再び走らせて坂道を下っていくが、その途中でルルが当然の疑問をぶつけてきた。
『……ねえ、そっち崖だけど?』
「そりゃあ道を走るより、こっちの方が早いからな」
『いやいや! 貴方は空を飛べないー……あーあ!』
ルルが言い終わるよりも先に崖から飛び、それと同時に足でケティールの腹を二回叩いた。
するとケティールは畳んでいた翼を広げたので、落下速度は緩やかとなり、風を切り裂きながら俺たちは滑空していく。
『あ、そっか。この子って、ちょっと飛べるんだったね』
「ああ。しかもこいつは強い種のようだ。これなら一気に飛べるぞ」
ケティールの滑空は左右へ結構ぶれるものだが、こいつは風をしっかりと捉えてぶれを抑え、飛行距離を大きく稼いでくれそうだ。
時折近くの岩を蹴ったりしながら高度を保ちつつ、俺たちは戦場へと飛び込むのだった。
---------- ユキナ -----------
「前へ出過ぎるな! 倒すのではなく、この場を死守する事だけを考えろ!」
「怪我人が通るぞ! 治療班、急げ!」
「くっ!? 向こうの手が足りん! そこの生徒五人、出てこい!」
突然、空で男性が演説をしたかと思えば、私たちは海から鉄の船に乗って現れた人たちから襲撃を受けていた。
私と同じ学園の生徒が半数とはいえ、相手との人数は倍以上の差があったのに、周辺にいる魔物たちも襲い掛かってきたので、私たちは数の有利を失っていました。
それでも、熟練の方々や母さんの部下の皆さんが必死に応戦した御蔭で、戦場の中心でも生徒の皆を守る防衛線を作る事は出来ました。空を飛ぶ魔物がほとんどおらず、地上を走る魔物が大半というのもあるでしょう。
けれど私たちを守る為に動きが制限されてしまい、その防衛線を維持するのが手一杯です。それどころか一部崩れ始めていて、戦闘に自信がある生徒も多数前へ駆り出されています。
「この……野郎が! 俺の奇跡でまとめてー……」
「馬鹿者が! もっと周りを見ろ!」
集団戦において、大規模の奇跡は下手に使えません。
使いどころを間違えば味方を巻き込むだけでなく、消耗が激し過ぎてその後は足手纏いになりかねないからです。本来は接近される前に大きな奇跡を放って数を減らすのが最善なのですが、奇襲されたせいでそれが出来なかったのが痛い。
「くっ……俺はまだやれるぞ! 下がる必要なんてない!」
「下がれ新兵! 怪我人が出ても迷惑だとわからんか!」
「いてぇ……ちくしょう……」
次々と怪我人が運ばれてくるので、奇跡に秀でた生徒の皆で治療を行い、治った人がまた前線へ戻れば新たな怪我人が運ばれてくる。
ここはまだ守られているけれど、不安と緊張が続く状況に皆の雰囲気が段々と悪くなってきているのがわかった。
せめて兄さんがいてくれれば、皆に喝を入れたりして不安を吹き飛ばしてくれるだろうけど、今は敵陣に突撃しているのでまだしばらく帰ってこないと思う。
『兄さん、どこにいくつもりなの?』
『おそらく敵の中に魔物を操っている者がいる筈だ! 奥深くまで突破し、そいつを討ち取って戦況を変えるしかない!』
『わ、わかった。なら私も一緒に……』
『お前はここの者たちを守れ。なに、そう悲観するな。母上に救援は送ったし、耐え忍べば勝機は必ずある!』
私の力が足りないからではなく、生徒を守る為に残されたのは理解している。
ここには戦闘が苦手というだけでなく、集団訓練すら初めてな生徒も多くいるからだ。戦場の空気に呑まれ、恐怖で動けず泣きそうな子もおり、何が切っ掛けで崩れるかわからないのでどうにかしないと。
「皆さん! 心配はいりません。母さー……アイラ様がすぐさま隊を引き連れ、救援に来てくれます! 下を見ずに、生き残る事だけを考えてください!」
「「「…………」」」
英雄の生まれ変わりという名が少しでも心の支えになればと、私は大声で皆に語り掛けていた。
それで顔を上げてくれる人もいれば、俯いたまま変わらない人も多く、中には私を睨むような人もいます。
でも、それでも構わない。少しでも抗う意思を持ってほしいと私は訴え続けた。
「……光翼も発現出来ないくせによ」
「っ!? それは関係ありー……」
「情けないですわね!」
心無い言葉が飛んできたその時、気付けば横にいたエルカさんが、私の言葉に割り込むように大声を出していました。
「怖くて背を向けているだけのくせに、文句だけは一人前ですのね?」
「な、何だと?」
「そんな元気があるのなら、武器を手に敵を睨みなさい! 光翼を発現させて奇跡を放つ準備くらいなさい! 貴方はこの学園で何をしていたのですか!」
「そ、そうです! 学んだ技術を使う時が来たんです! 例え『光弾』でもここにいる皆さんで一斉に放てば、どんな魔物だろうと通じます!」
私もエルカさんに負けじと声を張り続けた御蔭もあり、顔を上げて武器を握り直す人が増えました。
少しだけ雰囲気が良くなったところで、隣に立つエルカさんへ感謝の言葉を伝えましたが、エルカさんいつものようにそっぽを向いています。
「ふん! あまりにもあの方たちが情けなかっただけですわ」
「それでも、本当に助かりました」
「お礼を言うのは早いですわよ。ところでユキナさん、今日は盾を背中に背負ったままですのね?」
「必要な時に使ってこそ、英雄の盾ですから。それに、今は隣にエルカさんがいます」
「おっほっほ! 確かに正義の盾である私が隣にいれば、ユキナさんに盾は必要ありませんわ! ですがこのままではー……」
「抜けたぞ! 気をつけろ!」
エルカさんの言葉に気を引き締めたその時、前衛を抜けた狼の魔物が数体こちらへ迫ってきたのです。
数は五体だけでしたが、ここで暴れられるのは不味い。
私は槍を構えつつ魔物へと突撃しますが、それよりも先にエルカさんが前へ飛び出しながら大盾を構えました。
「こちらですわ! さあ、かかってらっしゃい!」
盾を叩きながら、天力を乗せた大声で魔物を惹きつけたのか、四体の魔物がエルカさんへと群がりました。
その見事な誘導に感嘆しつつ、私は一体を槍で仕留め、その勢いのままエルカさんの大盾に絡む四体の内の二体を倒しました。
「どっせい……ですわ!」
数が減ったところでエルカさんが大盾を振り回せば、残った魔物が地面へと叩きつけられ、すかさずエルカさんが槍で一体を貫きます。
そして最後の一体は大きく飛んで地面を転がっていましたが、立ち上がるよりも先に周りの皆さんが放った複数の光弾を受けて倒されたのです。
「や、やったぞ!」
「そうだ、魔物なら倒した事あるんだったよ。何だよ……くそ!」
「今度来たら、もっと撃ち込んでやる!」
危険はありましたが、魔物を倒した事で少しだけ皆さんの気が楽になったみたいですね。
また魔物が抜けてこないか周りを警戒していると、盾の状態を確認し終えたエルカさんが不敵な笑みを浮かべていた。
「相変わらず、見事な槍捌きですわね」
「エルカさんこそ。やはり頼りになります」
「ええ、私は正義の盾ですもの! 友だー……ごほん、クラスメイトである貴方は必ず守ってみせますわ! おっほっほ!」
その力強い言葉と笑い声に、心だけでなく体も軽くなってきた気がする。
油断は許されない状況ではあるけど、兄さんが言った通り母さんの部隊がくれば戦況は大きく変わる。例え魔物が倍に増えようと、母さんの部隊ならそれくらい軽く蹴散らせるから。
再び怪我人が運ばれてきたので、私も治療を手伝おうと駆け出したその時……。
「ははは……いたいたいたぁ! ここにいたかぁ!」
前で壁になっていた皆さんを突破し、見た事のない魔物に乗った一人の男性が、多数の魔物を引き連れて私たちに迫ってきたのです。
ローブで全身を隠している男性は楽しそうに周りを見渡し、その視線の奥底に秘めた黒い感情に悪寒を覚えて私は槍を無意識に構えていた。
「貴方は……何者ですか?」
「おお、おお……いるいる。雛鳥たちが沢山いるなぁ。さすがは私だぁ」
「聞いていますの? それに約束もなく突然来訪なんて、失礼な方のようですわね」
エルカさんも同じ気持ちなのか大盾を構えて私の少し前を立ち、他の皆さんは男性から距離を取ろうと私たちの後方へ逃げていました。
あまりこういう事を思いたくありませんが、不気味な男性です。
しかも男性の周りにいる魔物たちも不思議なくらい大人しく、まるで主の指示を待つケティールのようです。
「ほほう、その気迫……君が雛鳥たちのお守りなのかな? これは面白い」
「くっ!? 何だあれは?」
「強敵だぞ! 前線を下げて、生徒たちを守れ!」
「騒がしいなぁ。お前等、壁となれ」
現れた敵を倒そうと、壁の役割をしていた皆さんが体勢を整えて、謎の男性へと後方から仕掛けようとしています。
しかし男性が鬱陶しそうに呟けば、大人しかった魔物たちが急に動き出して彼の後方へ並んでこちらへの救援を阻んでいました。
まさか、魔物を操っている?
もしかしてこの男性が……。
「これで良し……と。では改めましてー……」
「貴方が周りの魔物を操っているのですか?」
「んー? 何だね、自己紹介もさせてくれないとは、随分とせっかちな女だな」
「答えなさい!」
「わかったわかった。ああ、その通りさ。この私が魔物を操っているのだよ。これで満足かい?」
なら、兄さんが狙っていた敵はこの人って事になる。
「誰か、兄さんへ伝令をお願いします! 目標はここにいる……と!」
「んん? ああ、どうやら私を狙っていた者がいたみたいだね。中々に勇猛な者のようだが、いかん、いかんなぁ! 敵の大将が常に一番奥にいるとは限らないのだよ?」
「大将? つまり貴方がこの集団の長という事ですわね」
「その通り! 私の名前はジンドウ! 神人様の使徒であり、エルガンテ様の忠実な部下である!」
続きは、明日の17時投稿予定です。




