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心臓ひとつ、ココロはふたつ!? 魔力暴走の果てに見習い白魔導士男子、女魔王様と半分ずつ融合してしまいまして……  作者: 冬馬
第一章 魔力暴走の果てに見習い白魔導士男子、女魔王様と半分ずつ融合してしまいまして……
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第二話 アレスとエリス、二人三脚をする!?

 白と黒の光が収まり、森に静寂が戻った。

 右半分のアレスと左半分のエリスは、しばらく呆然と立ち尽くしていた。


「……あ、あの……えっと……」

「む……お主、名前は?」


 先に口を開いたのはエリスだった。

 だが、口は一つなので、アレスの声と混ざり合うように響く。


「ぼ、僕はアレス。白魔導士の見習いで……その……」

「アレス、か。わらわは――」


 左半身の唇が妖しく笑う。


「魔王エリスじゃ」

「ま、まままま魔王!?」


 アレスにまさに雷に打たれたような衝撃が走り、共有している心臓が大きく脈打つ。

 ドクンッ!

 すると、エリスにまで驚きの感情が沸いてくる。


「ひゃっ……! な、なんでわらわまで……って、お主の動揺が伝わっておるのじゃ。心臓が一つしかないからの」

「そ、そんな……!」


 アレスは混乱しながらも、どうにか状況を整理しようとする。


「え、エリスさんは……どうして人間界に……?」

「ユノーという女魔族に追放されかけたのじゃ。

 魔力では勝てぬゆえ、転移魔法でわらわを魔界から追い出そうとしたのじゃな」

「そ、そんな……魔王なのに……」

「まぁ、たしかに魔王じゃが、わらわは誘惑と魔力で頂点に立っただけでの。あやつのような魅了無効の女には効かんのじゃ。……じゃが、ユノーだけで大胆にもわらわへの謀反を起こすというのは妙じゃな?」


 ここで、エリスの脳裏に疑問符が付いた。


「たとえ、あやつがわらわの座を奪ったとしても、ほかの魔族が黙ってはおるまい。すぐに下克上の連鎖が始まるだけじゃ。それにあの大規模転移魔法は、あやつの力量をはるかに超えておった。......だとすれば、ユノーには誰か別の、後ろ盾がおるのかもしれんの」

「なるほど……」


 アレスは頷きかけて、ふと気づく。


「って、そんな話より……なんで僕たち、くっついて……?」

「わらわの転移魔法が暴発し、お主の魔法陣と干渉した結果じゃろうな。わらわの魔力も大幅に落ちておるし……」

「ど、どうすれば元に戻れるんだろ……」

「さあな。だが、ここで立ち尽くしておっても仕方あるまい。まずは安全な場所に移動するのじゃ」

「そ、そうだね……! とりあえず僕の家に……」


 アレスは決意して一歩踏み出そうとした、が。


「……あれ?」


 右足だけが前に出て、左足がついてこない。


「お主、勝手に動くでない。わらわの足は左側じゃ」

「え、ええ!? じゃあエリスさんが動かしてよ!」

「わらわはわらわで、お主の動きに合わせねばならんのじゃ!」

「ど、どうにもこうにも……!」


 右と左がバラバラに動き、二人はその場でぐらぐらと揺れる。


「わっ、ちょ、ちょっと待って、転ぶ転ぶ!」

「お主が遅いのじゃ!」

「エリスさんが速いんだよ!」


 森の中に、融合体のぎこちない足音が響く。

 そして――


「このままでは目立つのじゃ。仕方ない、わらわが魔法で隠す」

 エリスが左手を振ると、黒いローブがふわりと現れ、二人の身体を包んだ。

「すごい……!」

「当然じゃ。わらわは魔王じゃからな」


 誇らしげに言うエリスだが、歩くたびにローブの下で足がもつれているのは隠せない。


「だから速いってば!」

「お主が遅いのじゃ!」

 そんなやり取りを続けながら、どうにかアレスの家へ向かっていくのだった。


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