Ep4-3:私たちはようやく上り始めたばかりなので
「ご、ごめんなさい。急に倒れたりして、ご迷惑おかけしちゃったみたいで……」
「い、いえいえ、こちらこそ。調子に乗って無神経なことを…… 脅かしちゃって、ごめんなさいね?」
小輪雁夏水と『二階の窓辺に佇む美少女』は、またしてもぺこぺことお互い頭を下げ合っていた。どうにも互いの距離感が上手く掴めない。知らず知らずの間に特別扱いされてきた美少女と、いじめられっ子。本人たちの人懐っこさに反してコミュニケーション能力は高くないのだ。嘘が苦手なクセに人を傷つけることに臆病すぎる。
「おどかす…… うぇっ」
グロい光景を思い出してしまったのか、夏水がまた顔色を悪くする。これ以上は限界だろう。元凶のいないところで休ませた方がいいと二階子ちゃんは判断した。心臓が止まっていたことを伝える気はない。そのショックでまた心臓が止まりかねない。無限ループは自分の能力だけで十分だ。
「あなたが悪い子じゃないってことは、よく分かったよ。今日のお詫びは必ずするから、安心してね?」
にこ、と、柔らかく微笑んだ二階子ちゃんは、そのまま消え……ようとして、それでびっくりされてもイヤだなぁ、と、夏水に背を向け歩いて退場することにした。
夏水が嘔吐感を呑み込んでいる間に、旧制服の少女の後ろ姿が廊下の角へと消えていく…… 気が付けば、昼休みの喧騒が夏水を包んでいた。夏水はしばらく目を白黒させていたが、購買へ向かっていた爪先を180度ひるがえし、ぎこちない足取りで教室へ引き返していく。
きっと、四方木礼祀を視界に収めて安心したいのだろう、と、幽世から二階子ちゃんは夏水の後ろ姿を見送った。
まぁ、いいだろう。たかだか50年もしないうちに老い、100年もしないうちに死んでしまう女一人、気にするほどのことじゃない。
次回はまた不定期更新となります
構成力不足で短い内容の更新となりすみません
次からEP5に入る予定です
過去作含め、評価・感想を本当にありがとうございます
返信滞っていて申し訳ないです




