シーソルト
全て忘れてゼロに戻りたい
跡形も無くなって そうして母の胎内にいた時のように
何も考えず安心したい
しょっぱい涙ばかり流すのは慙愧の念のせいか
必要不可欠な塩のような
あなたにとってそんな存在の男でありたかった
海水を天日で干して塩を作るように自然でありたかった
今の時代何でも合成だ 私だって不自然に笑ったりたまにするけれど
それで楽になるのは他人だ 私は自分の為だけに泣き笑いしたいエゴイスト
何と言われても辛口の言葉を他人に投げつけて平気な顔して
そんな冷たい人間になってた 優しさは欠片ほども無い
それを忘れて あの夏のソルティライチの味をもう一度
降り積もる雪は心凍らせる
上手く言えないんだ 好きでも
大切なものほど忘れたくなる辛さ そんな恋を何度もして来て
今 私は海に還りたい すぐに再生されてしまう人間 命の軽視では無く
ただ希望のコンテニュー
蛞蝓の癖に塩で溶かされるのは嫌だみたいなささやかなプライド
消えたくない 消したくない 己の生きた証 生きてこそ季節は巡る
潮は満ち引きして月と懇ろ 見上げた先には星座
夜の海辺で1人佇んでいたあの頃 戻りたいとは思わない
美醜も移ろうが 朝にはきっと良い顔をしていると信じたい
存在理由と尊厳を我らに与えなかった神とやらに
聖杯に海水を忍ばせて抵抗するだけ




