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唄を忘れたカナリア

俺達の青春はあの汗と埃と涙に塗れたスタジアムに置いて来た 

今 思い出すと随分ご無沙汰な気持ちだと思う 

アルバムの中の写真を見て

俺にも若い頃があったんだななんて感傷にひたってしまう 

そうだろう? あの頃は…… 

そして思い出の劇場に集う ロードムービーの始まりはきっと……


なんて事は無い 全て一瞬でケリをつける 

コイントスが表だろうとも裏だろうとも

ゴールネット突き刺すシュート 揺らすシュート 

決めろハットトリック 

スターは俺達を見てくれていた観客全員だ 

そして俺達はいつでもキックオフ出来るスターターだ


黄色いシャツと水色のショーツで砂塵を巻き上げて走った 

ロスタイムにも勝機を見出し諦めず全力を尽くした 

今だってあの時のブラスバンドみたいなボルテージで

もう覚えてもいないはずの唄を歌うカナリアの群れ 

そこに今も思い出せる夢とサッカーボール


今どこで何をしているかもそれぞれのフレンズ 

孤独はトレンズ 

でも 学び舎で共に同じ釜の飯を食い寝る時も遊ぶ時も一緒だった思い出 

全然色褪せぬ 


いつかまた出会える日を心待ちにしている 

去年はもういい歳なのに紅白戦 焼肉パーティー 楽しかったね


それぞれに道があり目指すものも変わったけれどいつだって

あの頃に戻れる俺達のオフサイド気味の情熱は今も燃えているんだ 


笑っちゃうよな おいおい皺が増えたな 子供は何歳になった 仕事楽しいか 

そんなよもやま話は決勝戦前夜の眠れない日と何も変わってない


これから先も長い戦いになるだろうが誰も諦めてはいない 

例え友が死んでも我が死んでも

ただ音程の外れた唄を歌い短い夜に篝火を焚くだけ 

それだけ 


延長PK戦の末掴んだ栄光もう一度 

またホイッスルが鳴って俺達のプレイは終わりを知らず 

そしてまだ俺は唄を忘れたカナリアの雛

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