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瑠璃光ダーラニー 

瑠璃の光が ゆっくりと肺に沈む

祈りとは 声よりも先に震える沈黙の事だ

誰かの名を呼ぶたびに 過去の傷が静かに発光する

夜明けの前に まだ消えない痛みが残っているのなら

それもまた 私の一部として抱いていくしかない


遠い星のように あなたの姿を思い出す

青い炎が心臓を透かして

壊れかけた生命に 柔らかな光を注いでくれる

呼吸はいつも 破壊と再生を行き来していて

響きが身体を巡るたび 痛みは意味へと変わっていく


病を癒やすとは 失われたものを取り戻すことではない

傷の底でなお動く鼓動に 光を見つけることだ

この世界が冷たくても 人は声を失わない

祈りは無力だと知りながらも

誰かのために唱える瞬間だけ 孤独がほどける


瑠璃光よ

どうか私を責めないでほしい

癒やすことと 赦すことの境目が もう見えない

それでも私は今日も唱える

闇の底で小さく光る音を信じて


成就せよ

その言葉が終わる頃には

胸の奥でまだ温かいものが 確かに脈を打っている

死ではない 生でもない

その狭間に漂うものこそが きっとダーラニーの正体なのだ

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