異常酩酊
序文
通常の酩酊とは異なり少量のアルコール摂取でも極端な行動や精神状態が現れるような病的な酔い方。
詩記
結構な酒豪だった私 酔って暴れた事は無いが
流石にウイスキーやらバーボンやらテキーラやらチャンポンしていれば嘔吐したり寝たりしてたよ
キャバクラではもう閉店ですのでみたいな事を言われたり
いやいやこの人かわいそうだから私のお金で飲ませてあげてなんて情けをかけられたり
家の父親が頭がイカレていてね 酒が弱い体質なのに呑んで異常酩酊の症状を呈してまさに人間失格な男だった
仕事終わって寝ていたらスナックから帰って来て便所に籠って嘔吐しながら意味不明な言葉を叫び さらに呑んで食器棚の皿を全部バラバラに割ってガシャーンガシャーンと音を立てて家にあるものを片っ端から破壊 そして寝ている私を殴る 殴る
どうにもならないアホだったな 酒を呑むと本性が出るとよく言うけど私は優しくなって女性に懐いて胸で眠ったりする夜もあったが あいつは暴力と狂気の男だったな 家庭を壊した諸悪の根源が父だった
今はその頃の後遺症で呆け始めていてお荷物以外の何者でもない そういう家庭環境で育ったから私は積極的に家庭を持とうとは思わなかった
親に虐待された経験のある大人は家庭を持つと悪い所は似るのか自分も同じ事をすると言われている だが子供を持つ持たないは夫婦の自由ってわけでは無いと思ってる 私はもし結婚したならば当然子供は欲しいが 毒親問題に悩む人は多い
アルコールの影響下に置かれた時の人間はケダモノと同じで理性というものが破綻する 私は幸い観念奔逸した経験がほぼ0なので心神喪失とか心神耗弱で犯罪を起こした人間は同情せず裁いて欲しい 私は常に自制する為に自傷行為して耐えている
接続詩
コップに浮かんだのは
あなたの影ではない
罵声と笑い声が
交互に吐瀉物に泡を立てる
「誰も俺をわかってない」 知らんわ
「飲まなきゃやってられないんだよ」 こっちがやってられんわ
席を立つ者
口を噤む者
背を向ける者
それでもあいつは暴れて大声をあげる
今夜もまた
人格がグラスの中で揺らぐ
酔いどれの仮面は夜明けと共に剥がれるが
迷惑だけは醒めずに残る
結文
私は禁酒して十数年にもなるがこのままで行けそうだ。欲望に惑わされて詩才が落ちる事だけを恐れる。生涯現役で書くなら枷も自分に課さねば中々出来る作業ではないからね。詩作はね。