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外因 

序文


外部から対象となるもの(物体、生命体)に影響を与える因子。

病原体、環境因子、外力などがある。


詩記


開襟シャツにまとわりついて来る誉め言葉が気持ち良かった中学時代

平々凡々と歳をとり卒業文集に将来の夢と書いたサラリーマンにもなれた


いつから歯車が狂ったのだろう? 

頭の中がクリーンなほど値の張るジャケットにまとわりついて来る言葉がうっとおしくて

頭の中のスクリーンはいつも違う映像で夢を見せてくれるけど

起きても見るもの聞くもののノイズに耐えられない 眠っている時ですら悪夢を僅かでもマスキングする事が叶わない


救いは無いな 外因にペシャンコにされるだけ それが集団リンチされた昔から今もまだなおトラウマどころか現在進行形の日常で


紙幣と硬貨の勘定に追われ あれもこれも高くて買えないみたいな誰もが抱える不満すら代償行為では癒せず病原体でも薬物でも良いから飲み干して息を吐き出していく事を拒んで


ああ 1人が嫌だ 1人が良い いつからそんなに弱虫になったんだろう 友達作りに

裏切りは常で でも他人に期待していなかったから傷つく事なんて慣れたまま大人になって

今の方がよっぽどルールの柵がキツい事をあの頃の私に伝えたら絶望で縊死してしまうだろ?


自分と自分の対話の中でも嘘を吐くなら もっと他人を求めた方が良い

贖罪だの祈念だの重すぎ あの頃のように外因を排してまっさらになってやり直したいな

でもそれって死んでいるのと同じじゃないかって私は苦しむ 大人はみんなそうだ

外因に傷つけられて まだ平気な顔を強いられる 


ならば血は他人に擦りつけてマーキングする犬のように人の奴隷に成り下がる生き方すらしてみたいくらいには日々陰鬱な糸でがんじがらめ でも今はきっと明日を待ちわびて笑えるだろう


接続詩


夜の湿度が胸の奥に貼りついて離れない

思考が溶けきる前に何かを掴もうとしても

掴んだ指先から音も無く零れ落ちていく

平衡を装うのが癖になっただけで

誰も信じていないし 自分も信じられない


昨日までは他人のせいに出来たのに

今日は全部自分の声がうるさい

過去の自分が寝言みたいに呼びかけてくる

もうやめておけって

それが優しさなのか呪いなのかも分からずに


あの頃の笑顔はもう素材としても使えない

どんなに貼り付けても輪郭がずれて

生きてるフリがバレそうになる

だから街灯の下で わざと人混みに紛れた

孤独が紛れる瞬間だけが 一番息が楽なんだ


世界は静かだ 耳鳴り以外何も聴こえない

でもそれがいい 真実は音を立てないから

またひとつ何かが終わっていく

その跡を撫でながら 私はまだ

壊れることに間に合っていない


結文


圧力でペシャンコになる。そんな事繰り返してそのたび自分が間違っていたのかと自問自答。人の話は聞くだけ聞いた方が良いのだろうけれどその通りにやったら私が私じゃなくなる。

拒絶は嫌いだけど受容も無理。そういう時には考えても無駄な事。生きている限り外因に左右されるがそれこそが生きるとか自分らしくとかの意味を再構築してくれるものだと思う。外因をありがたいと受け流しそれはそれとただ感じるだけで気は楽になる。求めなくても勝手に与えられるんだよね。そういうのって。

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