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嘔吐

序文


胃の内容物が逆流して、食道・口腔を経て外に排出される事。

幽門の閉鎖と胃壁の収縮とにより起こる一種の反射運動。


詩記


何も食べなきゃ良いんだろうが

詩作のストレスで過食症 ついぞ嘔吐 右手の人差し指と中指の吐きダコ

酒を浴びるほど呑んでどうなるものか? 禁酒が長いが自棄酒したい時もあるよ


甘いスイーツをいくら貪っても太らないので

真夏が過ぎ去ったらもう冬のように寒く感じる 衣替えをした


もうオジサンだからなのかな? こってりな脂物は受けつけないが

マックのフライドポテトくらいなら何とか ああ ラーメンは無理ねえ


若い頃は飲み屋をはしごして これ何故なんだろ? 電柱の側にうずくまって吐きますよね 自己顕示欲? マンガの見過ぎ? 実際そこで力尽きてたけども


健康のバロメーターとしてフードファイターは胃酸が強いから食べても吐かないんじゃないかな? 脳の病気でも嘔吐するしね 癲癇発作とか


ああ 吐きたい 頭に輪っかがかかって締め付けられるようで苦しい

ああ 書きたい このアルコールへの希求を 君の太腿と同じくらい優しい薬だからね


接続詩


胃の奥に沈殿した

言葉にならぬ言葉が

逆流をはじめる


鉄の味を帯びた記憶

甘ったるい後悔

焦げついた欲望

腐敗しかけた希望


すべてが混ざりあって

喉を突き破り

汚濁として外に放り出される


吐き出した瞬間

世界は一瞬だけ澄み渡る

だが次の瞬間には

また沈殿が始まる


人は生きている限り

呑み込み、消化できず、

吐き戻す存在なのだ


結文


私は今日も胃の奥から心の底から言葉を吐き戻す。それは醜悪で 惨めで 救いのないものかもしれない。けれど吐かずには 生きていけない 書かずには 生き延びられないのだ。

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