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プロローグ
詩は墓の中で目を覚ます
言葉は骨となり
音は土に還る
筆跡の残骸が風に散り
消えかけた文字が
誰かの瞳に映る
かつて詩と呼ばれたもの
かつて声と呼ばれたもの
かつて私と呼ばれたもの
全てが終わり、全てが始まる
死期の鐘が響く
詩の墓は、今、崩れ落ちる
冷たい夜の底で
沈黙が脈を打つ
言葉の影が揺れながら
記憶の隙間へと溶けていく
ここにはもう何も無い
あるのは名も無き余韻だけ
それすらもやがて消え去る
そして、詩もまた
無に還る
さようなら。
そして初めまして。