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ヴァリアントソウル  作者: 黒金氷碁
ラプラス・バーサーカー
7/9

暖かい場所

 「ここです!ハルマさん、ラプラスさん!」

先を歩いていたクロが指を差したさきには、静まり帰った村があり、その先には小さな村があった。 「ここがマウ村か…」と呟いた。よく見ると、入り口には短い黒髪をぼさぼさにした女性が立っていた。

女性は、こちらに気づくなりバタバタと走ってきた。

 その女性はユイとクロを見て、「どこに行ってたの!」と2人を叱りつけた。恐らく母親だろう。

 クロが「父さんの行方が分からなくなってから、母さんが俺たちの生活の為に金を稼ごうと頑張ってくれてたから、お宝があるって言ってた山脈にある洞窟に行ったんだ…ユイには付いてくるなって言ってたんだけどこっそりつけてきてて…」と呟き「ごめんなさい…」2人でと泣きながら頭を下げた。「ほんとあんた達は…お母さんは2人の為だったら頑張れるのに…あんた達が居なくなったらどうやって生きればいいのよ…ほんとに無事で良かった…」と2人を抱きしめて泣き崩れた。

 しばらくして、3人が落ち着いた頃、「あ、えっと…恥ずかしいところをお見せしてすみません…私はナナと申します…貴方達は?」とこちらをナナさんは顔を向けると、「俺はハルマと言います。こっちにいるのがラプラス。たまたま通りかかったところに息子さんと娘さんが襲われているところを見つけたので、ちょっとだけお手伝いさせてもらいました。」ラプラスはぺこりと頭を下げながらモジモジし始めたので代わりに紹介した。

 「ハルマさんは魔物に襲われていた俺たちを助けてくれたんだ。」とクロがゴシゴシと涙を拭きながら言うと「2人が魔物に襲われていたんですか!?助けてくれてほんとに、ほんとにありがとうございます…なんとお礼をしたらいいのか…」

とナナさんは地面に頭を擦り付けていた。

それを見て「あの、ナナさん、ほんとに大丈夫ですので、顔を上げてください…」となだめた。

 「でも何かお礼を…」と言ってくれたので「じゃあ今日どこか泊まれる場所とかお伺いしてもいいですか…?」と聞いた。

「それなら家にぜひ!おもてなしさせてください!」と手を握りしめてきた。

「じゃあ今日だけ、お言葉に甘えさせて貰います…ありがとうございます…ほら、ラプラスも!」と頭を下げた。

「あ、ありがとうございます。」と頭を下げた。

そして5人で家に向かってる途中、こいつ、敬語使えたんだな…としみじみと感じていた。

家につくと、ナナさんが夕飯を作るから先にお風呂へどうぞと言ってくれたので久々にゆっくりと湯に浸かりくつろぎ、味噌汁にご飯、魚に漬物というラインナップで夕飯を出してくれた。その時間はクロが俺についての事を母親に永遠と語っていて、俺はそんなそんな…と言いながら話を聞き、ユイとラプラスはだんだんと打ち解けていき、楽しそうに話していた。

夕飯を食べ終わり、クロとユイは疲れ切ったのか先に眠りについていた。そして俺たちとラプラスは次の目的地を明確にする為に 「ここら辺で魔族が出ると言う噂を聞いてたりしませんか?」とナナさんに聞いた。この話を2人に聞かれてしまうとクロやユイが着いてきてしまうかもしれないと思ったから念の為だ。ナナさんは「うーん…私はあまり聞かないです…すみません」としょんぼりしたので、「そうですか。お気になさらないで下さい。」と笑った。「でも、この山脈を下って、その先にはフェアリーフォレストって森があって、森を抜けるとセントラルタウンっていう街があるんですけど、そこは大きな街なのでもしかしたらそこなら情報を聞けるかもしれません。」と教えてくれた。「じゃあ次の目的地はセントラルタウンに決まりだね。」とラプラスが言ったので、「そうだな。」と返した。

「でもどうして…?」とナナさんは怪訝そうな表情を作ったので「とある事情があって、俺たち、魔族を倒さなきゃいけないんです。絶対に。」と言うと、「あの魔族と…」と不安そうな表情を作った。「大丈夫です。俺たち、絶対に負けませんよ。」と自分自身にも言い聞かせる様に言うと、「ふふ、クロの言っていた通り相当お強いんですね。」とからかうように笑った。

その安心感と疲れ切っていたラプラスと一緒にすぐに眠りについた。

目覚めると、外の空気を吸いたくなり外に出るとそこではクロが汗だくで素振りをしていた。こちらに気づくなりクロは駆け寄ってくるとシュビッと姿勢を正し、「俺、夢が出来ました!ハルマさんみたいな騎士に絶対なります!」とまるで自衛隊の様に敬礼しながら言った。「あ、ああ…」とたじろいだ。

「ハルマさんはいつまでこの村に居れるんですか!?良かったら稽古をつけてもらいたくて…」と言ってくれたが「俺達はもう今日にはでるよ。わざわざ泊まらせて貰ったし、食料を調達出来ればとりあえず今はいいんだ。」と言った。

「そうですか…」としゅんとする。「じゃあ良かったらこの腕輪、持ってってください!」と差し出してきた。腕輪は氷のような水色に鉄格子の様に線が入っている。「それは父は冒険家で色々なところを回ってて、俺にくれたやつなんです!形見なんで中々手放せずにいたんですけど…でも命の恩人なのでぜひ貰ってください!」と渡してきた。

でも…といったがいいから!とそれをはめ、じっと見つめた後 「うん、ありがとう。」と笑った。

家に戻り、ラプラスを叩き起した後、朝食をご馳走になった。ゴブリンの洞窟で少しだけ貰った宝を金貨10枚ほどに換金した。それで食料や飲み物を買うと、荷物をまとめて村を出た。3人は俺たちが見えなくなるまでそこに立って、見送ってくれていた。

「さて、ラプラス、それじゃあまずはフェアリーフォレストに行こうか。」と言い、ラプラスに言うと、「そうだねー、今回はあんまり長くならないといいなー。」と能天気にラプラスは返してきた。「文句ばっか言うなよ。」と微笑みかけた。そんな俺たちの能天気な会話を繰り広げてから、向かったその先に待ち受けていたのは大きな悪魔だった。

 

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