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ヴァリアントソウル  作者: 黒金氷碁
ラプラス・バーサーカー
5/9

始動

「飯も済ませたし、行くぞ。」と立ち上がり、荷物をまとめ始め、「そだね、ここであまりゆっくりもしてらんないねー。」とラプラスもそれに合わせ、準備を始めた。

ドタバタとラプラスがタンスを開けるとそこには服ではなく、俺の背丈程ある。さやに収められた剣が入っていた。「これが君のこれからの相棒となる剣だよ!さぁ、鞘から抜いてみて!」と持ち寄ってきた。

ラプラスから渡されたそれを両手で受け取り、「これが…俺の相棒…」と左右に羽が生えたような形状で。茨のつるが巻きついたような柄をしているつばの部分を指でなぞった。手に何故かよく馴染む黒い柄を持った。そしてシンプルで何の変哲もない茶色の革の鞘から刀身を引き抜くと、そこに現れたのは銀色に光を放つ刀身だった。

見とれている俺に「正式には加護が施されて、確か攻撃力倍増、剣の耐久も倍増、後は属性魔法を剣に載せる事も可能というサービス満載の魔剣なんだけど、名前はまだないからハルマがつけてあげなよ。」とラプラスは説明した。

「名前か…こういうの苦手なんだよな…」とポリポリと頭を掻いていると「じゃあ!」とラプラスがいうと「ラプラスの剣にしよう!はい!決定!」と言いながら、「これは僕が持つからハルマは剣を背負って、早く行くよ!」とパンパンになったリュックサックを背負い、クーラーボックスを肩にかける。ドアの前でこちらを見ている。俺は剣を背負ってドアの元に歩み寄る。

「お前荷物ないのか?」というと、「ないよ、あのワイシャツはもう使わないし、邪魔だからね。ほら、ハルマも準備出来たでしょ?いくよ。」と何故かラプラスはワクワクもう待てないと言わんばかりにガチャリとドアを開けた。

その先には綺麗な緑の木々、そしてその隙間から差し込む日差しがあり、耳を澄ますと小鳥のさえずりや川のせせらぎが聞こえてきた。

「ほんとは街の中にでも送って貰えると良かったんだけど街の中だと魔物は居ないし戦い方が分からないだろうと思って僕がここにして欲しいと進言したんだよ。センスあるでしょ?」とニコニコしている。

俺はラプラスに微笑みかけて、「お前にしては満点な始まり方だな。こういうのはロマンがあっていい。」ポンポンと頭を優しく叩いた。

一瞬ラプラスは頭を触ったことに驚いたのきょとんとしたがすぐに笑顔を取り戻し「なんでそんな上から目線なんだよ!」と言った。

「それじゃあ行くぞ。」と歩き出し、ラプラスは「うん、冒険の始まりだ。」と並んで歩き出した。

この綺麗な世界を絶対に壊させない、俺は守り抜くんだ、今度こそ。と拳を握りしめ、歩き出した。

――数日後――

「ねえーハルマ、お腹空いたよー。暖かいお風呂に入って、ふわふわのお布団で寝たいよー。」

とラプラスが愚痴をこぼしながらだらだらと歩いていた。

あれから俺達は森を歩き続け、なんの収穫もないままただ野営をしては食料が消えていく生活をしている。

「もうほとんど食料はないんだ、いつ街に着けるか分からないし我慢しろ。ハンバーグももう無くなったしな。」

と俺もそろそろ結構疲れてきて、だらだらと肩を落としながら歩いている。

「えー、もうボク背中がよじれそうだよ…」

という謎の発言をし始めたラプラスにもうツッコミを入れる気力も無く「ああ、そうだな。」と適当に返した。そんな風にだらだら歩いているとラプラスがはっとした表情で一点を見つめる。

「ハルマ…あれって…」ラプラスが指を指したそこには、俺たちが探し求めていたものがようやく見えた。2人で走り出し、「森の出口だぁ!!」といいながらついに俺たちは森を抜けた。

外に出るとそこは山脈で太陽が沈み、月が辺りを照らしていた。

「もう日が沈んでるじゃねえか…どこかで休むか、休めるところは…っとあそこの洞窟とか良さそうじゃないか?」というと、「いいの?」とニヤリと笑い、自分の頭を指でトントンと叩いた。頭の中にブー、ブーとブザー音が鳴り響いた。「まさか、これが危機察知?」と顔を強ばらせた。中からは女性の大きな悲鳴が聞こえてきた。

目を凝らすとスカウターに【ゴブリン】という表記が7体ほど、そして【ユイ】という名前と【クロ】という2つの名前があった。

チッと舌打ちしながら俺は戦いの経験もなく、力になれるかすら分からない、そんな事を忘れて走り出していた。

「そう来なくっちゃ」と言う声と共に後方から走り出す音が聞こえた。



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